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REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(7)~大分ホテル
経済小説
2012年5月 4日 07:00

<大分ホテル>
 これに対し、DKホールディングスの大分ホテルは、このような浮ついた気持ちから取り組んだ物件ではなかった。

sora_15.jpg 開発はマーケティングがとくに重要である。
 大分ホテルの事情をいえば、これまで高級な観光ホテルか、九州エリアの営業マン向けの安価なビジネスホテルしかなかった。ところが、大分は人件費および物価が安いということで、パソコンの組立拠点やコールセンターなど国内で労働集約的な業務を遂行する拠点の設置が相次いでいた。
 このようにして遠隔拠点ができると、中央から本社のビジネスマンが頻繁に出張してくるようになる。中央の企業では国内の出張に、1万円以上の宿泊手当を出すところも少なくない。

 ところが、大分の高級な観光ホテルは、そもそもシングルルームがほとんどなく、安価なビジネスホテルは室料6,000円程度までの、少し古びた物件がほとんどだった。そこで、このような新たな需要への対応として高級観光ホテルと廉価なビジネスホテルの中間をねらったリゾートビジネスホテルが開発されたのである。

 ホテルとしての稼働も、通常はビジネスホテルのように平日中心か、観光ホテルのように週末中心かのどちらかになる。が、これも、少しデザイン的にリゾートライクな味付けをすることで、平日・週末の二毛作が可能なデザインにした。このあたりが不動産の企画の面白いところである。

 こうした工夫によって売却先も早々に、ホテル専門の私募ファンドと契約していた。
並み居る成功した不動産業者がリゾート開発に取り組んだ行動と、DKホールディングスのホテル開発は一線を画するものだったことはたしかだ。
 その証拠のひとつとして、大分のホテルは、民事再生後に処分した不動産のなかでも最もいい条件(少ない値下がり幅)で売れたのである。

 やや話が脱線したが、この大分ホテルは、違約金をともなう有効な売買契約を私募ファンドと締結しておきながら、先方の資金調達の不調により、2008年3月中の売却を逃した。このため黒田会長の判断により、翌5月から販売用不動産としてバランスシートに乗せたままで、当社初の直営ホテルとして営業を開始することになった。

 そのようにして迎えた08年3月期決算は、売上265億円、経常利益15億円という過去最高の水準で、会計的にも難しい問題は何もなかったものであった。しかし、監査証明を得るまでにかなり苦労した。

(つづく)
【石川 健一】

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<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。


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