今回は、企業家であり、経営コンサルタントでもある孔令傑氏にお話を聞いた。孔氏は孔子直系76代目だ。生まれる前から、名前の真ん中の文字「令」は決まっていたという。

　直系というと、何か特別な教育を受けたかと必ず聞かれるらしい。前にその返答を頂いた。「私の場合は、それはありません。文化大革命の影響もあるのかも知れません。但し、両親からは、孔子の子孫としての自覚を持つようにとよく言われて育ちました。具体的には、自分としては、"自立"と"自律"ということばを意識、大切にしています」という。

　孔氏は朱鎔基、胡錦濤、習近平（次期）国家主席等、中国政治、経済の舞台で多くの先輩が活躍する清華大学の出身である。同時に、清華大学日本校友会会長（現顧問）として、「清華大学90周年記念イベント」を大成功させ、清華大学の名前を日本の政界・財界に広めた功績者として知られている。同イベントは、2001年、ホテルオークラを会場とし、外務省他主要官庁、経団連始め複数の経済団体の後援、10を超える大手企業の協賛を得て開催されている。

　孔氏は、1983年に清華大学無線・電子工学部を卒業して、同年に中国国家気象局衛星気象センターに入った。孔氏の高校卒業は1978年で、毛沢東の「下放」政策の影響を受けてはいるが、幸いなことに、大学入学の障害にはならなかったようだ。但し、卒業時点では既に、個人の意思というよりは、国家の意思として中国国家気象局への入局は決まっていた。在学中から、中国科学技術委員会のプロジェクトに参加、「科学技術進歩賞」を受賞している。

　中国国家気象局（日本で言うと気象庁）に入局してからも、気象衛星システムの開発により、中国国家気象局「科学技術応用進歩賞」を受賞。その孔氏が、新しい可能性を求めて日本に渡ったのは、それから５年後の1988年12月のことである。

　来日してからは、日本テレコムクリエイト株式会社等を経て、1998年から、日本テレコム株式会社情報通信研究所の研究員となり活躍している。孔氏によると、これまで技術、研究開発、マーケット調査等セールス以外はかなり広範囲の業務を経験したということだ。

　2004年に友人とThink Digital株式会社を創り、2006年代表取締役になり独立した。
同社は、半導体、集積回路の理論設計を中心にＩＴに関する開発全般とコンサルティング業務を行う。孔氏は最近、日本の中小企業向の中国進出コンサルティングを中心に、日・中間の企業に関する経営コンサルティングに大きく軸足を移しつつある。

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