反原発活動を長年にわたり続けてきた田中優氏は、節電と自然エネルギーの活用による「原発に頼らない社会」を提言し、全国各地で精力的な講演活動を続けている。NET-IBでは既報のとおり同氏が拡散を希望するメルマガの内容を紹介したが、今回はその続報を掲載する。
<私の数値は正しくない?>
先日、「偽装停電の夏」をくいとめようというメルマガを出した後、広く拡散を呼びかけたせいか批判も相次いだ。
いわく「電力会社を見る目が批判的すぎる」「偏った意見だ」というようなものだった。 特に夏場の電力消費のピーク時、家庭の消費は10%程度しかないというところには、資源エネルギー庁のデータではそうなっていないという批判もあった。資源エネルギー庁が正当なデータを出していないことは今に始まったことではない。
これまで原発の発電コストが5.3円で一番安いと言っていたことからも明らかだ。
今回の夏場のピーク時の家庭消費は、資源エネルギー庁は30%が家庭の消費だとして家庭の節電を呼び掛けていた(表1参照)。
それと比較して私の言う10%しかないというのが大げさすぎるという批判だ。この数字が間違っていることは次回の私の有料・活動支援版メルマガで紹介したいと思うが、ここでは朝日新聞が出している記事(2011年8月1日)だけ紹介しておこう。
◆『家庭の電力、2割過剰推計 「15%節電」厳しすぎ?
真夏のピーク時、東京電力管内の家庭が使う電力の政府推計が、経済産業省資源エネルギー庁が調べた実測値よりも2割多いことがわかった。政府は節電メニューを示して家庭にも15%の節電を要請しているが、消費量を多めに見積もったため、家庭に必要以上の節電を求めたことになる。
エネ庁が5月に公表した推計によると、真夏の午後2時の家庭での使用電力は、在宅で1,200ワット、留守宅と合わせた平均で843ワット。東電がエネ庁に提出した昨夏ピークのデータを元に推計した。全使用量は6千万キロワットで、東電はこのうち家庭を1,800万キロワットと見積もった。
この値は実測データよりかなり高い。エネ庁が、電気料金と使用量との関係を調べる目的で推計とは別に実施した調査によると、昨夏ピークに在宅世帯で1千ワットで、今回公表の数値より200ワット少なかった。
シンクタンク「住環境計画研究所」も、エネ庁の委託で2004~06年度に電力需要を調べた。夏のピーク時に世帯平均670ワット、管内全体では1,200万キロワットというデータが得られたが、エネ庁はこの数値を今回の推計に使わなかった。
エネ庁が家庭向けに示した「節電対策メニュー」に従うと、1,200ワットの15%にあたる180ワットの節電はエアコン利用を減らさないと達成できない。だが、1千ワットの15%にあたる150ワットなら照明などエアコン以外の工夫で間に合う。
東電企画部によると、電力使用量の詳細は大口契約の一部しかデータがなく、エネ庁に出した数字は様々な仮定をおいて推計した。「提供を求められてから、数時間ほどで作ったデータ。家庭の使用分は実際より大きめの可能性がある」(戸田直樹・経営調査担当部長)と説明する。
ここまででも資源エネルギー庁のデータは、20%過剰だ。信頼できないデータだということは分かる。あとはマニアックになりすぎるので、さらなる立証は僕の有料・活動支援版メルマガに譲らせていただく。
<プロフィール>
田中 優 (たなか ゆう)
1957年東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などの、さまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」「天然住宅バンク」理事長、「日本国際ボランティアセンター」 「足温ネット」理事、「ap bank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の 非常勤講師。『シリーズいますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー①~③』(岩崎書店)、『原発に頼らない社会へ』( 武田ランダムハウス)など、著書多数。
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