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脱原発・新エネルギー

【脱原発】響き渡るシュプレヒコール(1)~声を上げる市民たちの奮闘
脱原発・新エネルギー
2012年5月11日 12:00

 脱原発活動は、自覚ある市民の創出になり得るか――。

 2011年3月11日の東日本大震災は、我々日本人の価値観を変える大きなきっかけになった。東京電力・福島第一原発事故により、原子力発電の是非とエネルギーシフトという岐路に立たされ、私たちは急速な変化を求められている。あの過酷事故を経て私たちはどう変わるべきなのか、「第2のフクシマ」を繰り返さないために何をすべきなのか―。「原子力ムラ」に対し、毅然と立ち向かう人々の姿を追うことで、その答えが見えるはずだ。

<"普通"の主婦から市民団体代表へ>
0511_daihyo.jpg 玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の運転差止めを求めて、『玄海原発プルサーマル裁判の会』が発足したのは、東日本大震災が発生する約1年前の2010年2月21日。しかし、代表の石丸初美氏が脱原発活動を始めたのは、そこからさらにさかのぼって06年の話になる。06年の2月7日に、古川康佐賀県知事から突然、プルサーマルの安全宣言が出されたのを受けて、佐賀の主婦を中心とした10名程度の勉強会が開かれた。これに石丸氏が参加したのが、すべての始まりだったという。石丸氏は、佐賀で今まさに行なわれようとしているプルサーマルの危険性を初めて知り、住民に対して、何ら説明がなかったことに驚いたそうだ。その後、同氏は、紆余曲折を経て、『玄海原発プルサーマル裁判の会』の代表になるのだが、驚くことに彼女はそれまでごく普通の主婦だったそうだ。それも、子どもが4人いて、フルタイムの仕事もしていた。

 当初、石丸氏はプルサーマルに反対するために、裁判ではなく県民投票という方法を選んだ。県民投票の実現に向けて、06年10月3日~12月3日までの間、佐賀県全体で署名を集めて回った。同氏は当時を「仕事が終わってから事務所で処理をしていたのですが、経費もかかるし本当に辛かったです」と、振り返る。最終的に、5万3,191筆(有効は4万9,609筆)の署名を集めた。しかし、07年1月30日~2月2日の臨時県議会で、あっけなく否決されてしまう。「古川知事には余裕があったように見えました。否決する自信があったのでしょうね」と石丸氏は唇を噛む。

 しかし、臨時県議会で否決された後も、石丸氏の心が折れることはなかった。それどころか、今度は全国の人の力を借りるべく動き始めた。その結果、大阪の「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(略称・美浜の会)」と出会うことになり、今日につながるネットワークを築いていく。石丸氏は当時のことを回想しつつ、「私たちの『玄海原発プルサーマル裁判の会』は、本当にごく普通の市民が集まった団体です。そして、子どもたちのために『原発はいらない』と行動していることが、私の誇りでもあります」と話した。

 記者が石丸氏と初めて会った直後の11年12月27日、『玄海原発プルサーマル裁判の会』原告団は、玄海原発について安全性が十分でないなどとして、4基すべての運転差止めを九電に求める訴えを起こした。そして、12月25日には、4号機が定期検査により停止し、ひとまず九電の原発6基はすべて停止した。原告団に参加する人もこれまでとは比べ物にならない早さで集まるようになったそうだが、石丸氏は「九州で原発再稼動が行なわれたら、それが全国に広まってしまう」と、危機感を抱いている。だからこそ、全国の原発が停止するはずの12年5月以降も手を緩めず、この訴訟のように先手、先手を打って再稼動を阻止していく考えだという。石丸氏は「なんせ相手は巨大です。だからこそ、やれるだけのことを目一杯しないと勝てないという覚悟があります。そして、裁判は結果より"誰のため、何のためか"が大切です」と語った。

 ごく普通の主婦だった石丸氏が、あるきっかけから立ち上がり、困難を乗り越えながらも、『玄海原発プルサーマル裁判の会』の代表として活動している姿から、我々が学ぶべきことは多い。

(つづく)
【清水 秀生】

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