ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

社会

【再考】PCB廃棄物処理、期限内完了は不可~30年間放置された負の遺産(1)
社会
2012年5月12日 07:00

 4月、当サイトで連載したPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物処理問題は、いまもなお人々の関心を集めている。現在、日本では多くの"処理すべき問題"が山積しているが、遅々として処理できずにいる。そのもどかしさを、当問題と重ねて見ている目もあるようだ。PCB廃棄処理の遅延、作業過程での環境汚染の恐れ、世界標準となっている償却処理法ではなく、莫大な費用がかかる化学処理をあえて選択している日本のあり方。負の遺産の影には、紛れもなく日本人が歩んできた足跡がある。踏みしめてきた過去を顧みることが、未来への道を拓く鍵となるかもしれない。(本文・岩下昌弘)

<カネミ油症事件でPCBが社会問題化>
 PCBは、電気の絶縁性に優れていたため、電気機器の絶縁油や熱交換機の熱媒体などに広く利用されていた。しかし、1968年、食用油に製造過程でPCBが混入し、その食用油を利用した人に多大な障害を発生させた「カネミ油症事件」が起きた。PCBが混入した油を摂取して、爪が変形したりまぶたや関節にはれが出るといった健康被害は、福岡県を中心に西日本一帯にわたった。

 この事件をきっかけにPCBが社会問題化し、72年には通産省の行政指導により、PCBの製造が中止、回収などの指示が出された。73年には「化学物質の審査および規制に関する法律」が制定され、その翌年にはPCBの製造・輸入が禁止された。

<30年の空白後PCB処理が始まる>
 その後、処理施設の立地調整が進められたが、すべて失敗。そして約30年もの間、PCBの多くは廃棄物として保管されたままとなり、厚労省の調査では1万1,000台が紛失したという。

 2001年にはストックホルム条約(POPs条約)が締結され、28年までにPCB廃棄物を処理することが、世界各国に義務付けられた。これを受け、日本でも同年に「PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が制定され、PCBを保管している事業者に対し、16年7月までにPCB廃棄物を処分することを課した。

 当時、この事業を管轄していた環境事業団は、処理施設の整備に着手。04年には日本環境安全事業(株)(以下、JESCO)が発足し、環境事業団の事業を引き継いだ。同年に高圧トランス・コンデンサなどを処理するJESCO北九州事業所が設立され、05年に豊田事業所、06年に大阪事業所、08年に北海道事業所が操業を開始した。

 また、02年には、微量のPCBに汚染された絶縁油を含む微量PCB汚染電気機器が存在することが判明し、翌年に微量PCBに関する検討会が開かれた。10年には無害化処理認定制度が制定され、現在は認定を受けた事業者が微量PCBを処理している。

 微量PCBのうち、再生油を使用した柱上トランスについては、電力会社が所有しているものに限り、東北・東京・北陸・中部・関西・中国の6電力会社が自社による処理を進めている。

 ここまで、PCB問題の経緯をざっと振り返ってきたが、これは環境省が公表している内容だ。実は高濃度PCBを化学式で処理するに至った経緯や、PCB処理を請け負うJESCOには、さまざまな疑惑がある。

(つづく)
【構成:山本剛資】

| (2) ≫


※記事へのご意見はこちら

社会一覧
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月25日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月24日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月23日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月22日 16:42
「自爆民主党解散」シリーズ
2012年11月21日 15:20
イベント情報
2012年11月19日 14:00
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル