脱原発活動は、自覚ある市民の創出になり得るか――。
2011年3月11日の東日本大震災は、我々日本人の価値観を変える大きなきっかけになった。東京電力・福島第一原発事故により、原子力発電の是非とエネルギーシフトという岐路に立たされ、私たちは急速な変化を求められている。あの過酷な事故を経て私たちはどう変わるべきなのか、「第2のフクシマ」を繰り返さないために何をすべきなのか――。「原子力ムラ」に対し、毅然と立ち向かう人々の姿を追うことで、その答えが見えるはずだ。
<撤去騒動で一躍有名に>
これまで紹介した2つの団体とは、違ったかたちで脱原発を訴えている人々もいる。経済産業省の前と九州電力本店前には、原発撤廃を訴えた"テントひろば"が設置されている。
記者が経産省前テントひろばの正清太一氏を訪ねたのは、3月の上旬だった。突然の来訪にも関わらず、温かく迎え入れてくれた。当初は、「九条改憲阻止の会」によって立ち上げられ、現在では、原発関連のニュースやイベント情報などを発信や、全国からの来訪者の対応を行なっている。すでに全国から1万5,000人を超える人が足を運び、記者が訪れたときも、若い男性が正清氏の話に熱心に耳を傾けていた。
正清氏によると、当初よりも若い人の来訪が増え、「原発について教えてください!」と勉強しに来る人も少なくないという。また、学生のグループが「何か手伝うことはありませんか」と申し出てくることも、過去に何度かあったそうだ。
このテントが一躍有名になったのは、今年1月24日のこと。経産省が、テントを撤去するように通告したことで、マスコミが殺到した。正清氏は「あの一件から、いわゆる大手メディアが取材に来るようになったと思います。そして、外国メディアもそうですが、我々の活動に理解を示してくれる媒体の記者も多く訪れるようになりました。脱原発のメッセージがここから広がりつつあるのを感じています」と話してくれた。
テント前では、男性がギターを弾き、支援者たちの明るい歌声が響いていた。そして、夕方だったこともあり、仕事を終えた経産省の職員が、その前を伏し目がちに通り過ぎていく姿が印象的だった。
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