脱原発活動は、自覚ある市民の創出になり得るか――。
2011年3月11日の東日本大震災は、我々日本人の価値観を変える大きなきっかけになった。東京電力・福島第一原発事故により、原子力発電の是非とエネルギーシフトという岐路に立たされ、私たちは急速な変化を求められている。あの過酷事故を経て私たちはどう変わるべきなのか、「第2のフクシマ」を繰り返さないために何をすべきなのか―。「原子力ムラ」に対し、毅然と立ち向かう人々の姿を追うことで、その答えが見えるはずだ。
<九電を見つめるテントひろば>
ここ福岡では、九州電力本店前に「原発とめよう!九電本店前ひろば」が設置されている。この場所で九電を見つめてきた青柳行信氏に、九電という企業の変化について聞いた。
「原発事故や、一連のやらせ問題が発覚する前は、市民からの問い合わせなどは、とにかく門前払いでした。しかし、あのようなことがあって九電が追及されるなかで、顧客の申し入れや問い合わせに、対応するようになったと思います。納得のいく回答が得られるかどうかは別ですが」と青柳氏は話す。この話からだけでも、"田舎大名"として君臨し続けてきた九電の歪んだ企業体質が伝わってくる。
また、テントひろばで数多くの人々と接してきた同氏に、3.11を経た市民がどうあるべきかを問いかけた。
「原発事故を通して、やはり私たちは、これまでの暮らし方をすべてもう一度問い直す必要があると思います。たとえば電気ひとつ取ってみても、それがどこから来ているのか、また、私たちが支払っている電気料金はどのようにして設定されているのか。それにプラスして、核廃棄物の問題や、原発作業員の被曝なしに原発を運営できないという事実などにも目を向ける必要があります」と訴える。また、「これまで、政治の問題というと遠い世界の話であると感じていた人が多かったと思います。しかし、政治や国家政策などが、いかに自分たちにとって身近な問題であるかということに、原発事故で気付いたはずです」と、青柳氏は言う。
テントひろばから、同氏が発信するメールマガジンの登録者数は5,000人以上にもなるそうだ。また、これまで見るだけ、聞くだけだった人が、脱原発という活動の最初のアクションとして、テントを訪れるケースも多いという。「このひろばには九電に対して、原発を止めようというメッセージを発する役目がありますが、そういった語り合いの場としての意味も大いにあると思います」と、青柳氏は今後も来訪者を歓迎していく構えだ。
テレビで著名なコメンテーターが「大丈夫」と言っていたから大丈夫。政府が嘘の発表などするはずがないのだから、信じていれば大丈夫―。このような国民の"甘え"とも言える怠慢も、福島第一原発事故を引き起こした1つの要因だったのではないだろうか。すでに原子力発電の安全神話は崩壊した。放射能の安全神話など、戯けた話にも惑わされてはいけない。自立した市民になり、信念を持って行動することが、この先の日本には求められている。
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