<ノンバンクも無理>
不動産業界では、どうしても商品となる土地を仕入れるのに資金がいる。2007年までは地価も年々上昇していたため、上場会社でもデベロッパーと名乗りながら、実際には既存の不動産の転がしに傾倒していく会社があった。銀行は、不動産担保融資において開発資金かアパートローンしかやらない。付加価値を付けない土地建物転売のための資金は、もっぱらノンバンクが出していた。
これに対し、DKホールディングスには、当社の仕事はモノづくりである、という自負があり、いわゆる土地転しはしない、ということを決めていた。資金についても、これまで、アメリカ系ファンドとの付き合いで一部利用した以外は、一切、ノンバンクからの借入を起こしたことはなかった。
まあ、資金使途が不動産開発で、自己資本比率が10%前後という薄い財務基盤で、メインバンクをおかず10数行の並行取引ということで、金利は2%台の、いわばリスク金利であったが、それでもノンバンクなど使うまい、という矜持があった。しかし、金融収縮によって、不動産が売りづらくなっているという認識のもと、社長よりノンバンクを当たってみたらどうか、との指示があった。
私は、そのような指示を受け、内心、そのようなことに期待をつなぐよりも、営業活動を徹底してほしいという思いにとらわれた。先の臨時取締役会でも、営業系役員に危機感がないではないか、と。
しかし、物件を売るのは営業の仕事、金を引くのは財務の仕事、ということで、借換が迫る札幌土地の資金を、ノンバンクに切り換えられないかを模索することにした。
しかし、ノンバンク大手に札幌土地の融資を打診した結果は、評価額は現在の融資残高の3分の2、金利は手数料込で8%、しかも融資実行の確証なし、というものであった。と、いうことは融資残高の3分の1を先に今の銀行に返さないと融資切替ができない。
そのようなことをしたら、その時点で破産である。
とにかく買手がつかない現状では、資金の回収も無理、ということでノンバンクすら不動産への融資は困難という姿勢であった。
これでは、もう本当に物件を売って換金するしかない。売れなければ倒産するしかない、ということになった。6月末のことである。
<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。
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