大連万達集団が買収を発表したAMCエンターテイメントは、大げさに言えば、かつてキャナルシティ博多を救ったことがある。1996年4月に開業したキャナルシティ博多は、近隣の川端商店街を甦らせ、消費不況下の現在でも博多駅、天神に伍する商業施設として君臨している。
93年4月に着工したキャナルシティ博多のテナント集めは、困難を極めた。バブル崩壊直後という最悪のタイミングだったことに加え、風俗街に近いことも嫌われた。開業が近付くほどに、状況は悪化していった。
その時期に入居を決めたのが、AMCだ。国内企業のテナント集めが難しいと判断した経営陣は、アメリカを奔走し活路を開いた。すると、それまでの苦戦がうそのように、相次いで外資系企業の入居が決まった。この事実を、キャナルシティ運営している福岡地所の榎本一彦会長が積極的に発信したこともあり、多くの福岡市民はAMCに感謝した。このあたりの経緯は、現在の新宮町へのIKEA進出決定後の周囲の変化や反応と酷似している。
AMCはキャナルシティを皮切りに、中間市のショッパーズモールなどにも進出。商業施設を軸に展開を開始し、それまでの映画館の概念を変える多くのスクリーン数を抱えるシネマコンプレックスの日本での普及に、大きな役割を果たした。しかし、今度はアメリカの市場環境が悪化。日本の競合激化もあって外資系は相次いで日本を撤退し、AMCも05年に撤退した。
大連万達集団が獲得するのは、世界最大の北米市場と急拡大している中国。単純合算で世界トップシェアを握るという。王健林会長は世界シェア20%を握る手立てとして、欧米企業のさらなる買収を挙げた。日本市場の優先順位は、ヨーロッパより下位かもしれない。
ただし、3位に転落しそうでも、日本が巨大マーケットであることには変わりない。また、大連万達集団は映画館として中国最大でもあるが、大型商業施設やホテルなどの運営も手がけている。日本市場へ参入すれば、相乗効果は計り知れない。シェア20%を実現したとき(2020年目標)、AMCが日本国内で再度展開されている可能性は高い。
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