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「健康」「環境」「癒し」まちづくりに懸けた想い(3)~宗像市赤間地区
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2012年6月 5日 07:00

<歴史のまちに現れた商業団地>
 ――宗像市の現状と課題をご説明いただきましたので、これを踏まえて赤間地区の開発に話を移してまいります。中冨社長は、長らく赤間地区の開発に携わってこられたそうですね。

 中冨 JR赤間駅の周囲には「須恵」や「土穴」といった地名がありますが、もともとは「土穴須恵土地区画整理事業」という事業があり、これを発起したのが弊社・日創開発(株)でした。

 ――「須恵」や「土穴」とは、古代の名残が強い地名ですね。

 中冨 おっしゃるように、多くの伝承や逸話が残っている地区です。赤間という地名も、もともとは「赤馬」から転じたものだそうです。東征で神武天皇がこの地に立ち寄った際に、お迎えした八所宮の神が乗っていた赤い馬にちなんだ地名だと言われています。

 ――その赤間地区にできた大型複合商業施設が「くりえいと宗像」というわけですね。読者のなかにはご存じない方もいらっしゃると思いますので、「くりえいと宗像」の概要をご説明ください。

060_tenpo.jpg 中冨 まず、従来の1丁目、2丁目ですが、南地区・中央地区・北地区の3つに大別できます。南地区は、飲食店を中心とした商業テナントが集まる地区でして、JR赤間駅から極めて近い場所に位置しています。中央地区には核テナントである「サンリブくりえいと宗像店」を配し、北地区はドラッグストアやファッションなどの量販店を中心としながら、医院や薬局が集まる医療区画も設けられています。商業団地ですので、約3,000台の共用駐車場を設けており、施設全体の規模は約9万2,000m2。まちのコンセプトとして「宗像の未来(あす)を創造(くりえいと)」を掲げています。

 ――まちなみを拝見すると、イオンやイズミ(ゆめタウン)が展開するショッピングモールのような側面を持ちながらも、閉じられた商業施設のかたちにはなっていません。珍しい形態ですが、開発の経緯はどのようなものでしたが。

 中冨 きっかけには、住民や地権者の声がありました。当初、この一帯は農用地で、さまざまな事情から将来を不安視する声が挙がっていたのです。意見の集約は簡単ではありませんでしたが、市街化調整区域が商業地域に変わる大きなメリットを皆さんにご理解いただくことで、最終的には地権者の共同組合というかたちに一本化できました。その後に各テナントを誘致し、現在では(株)くりえいとが当地区の管理業務を行なっています。

<天馬に込めた想い>
 ――この地区の住所には「くりえいと」の文字が入っています。前職時代、私も開発事業に携わったことがありましたが、ほとんどが行政とのタイアップによる開発でした。

 中冨 実は、この地区の開発は弊社が牽引する土地区画整理事業として行ないました。もちろん、行政機関もさまざまなかたちで関わっています。たとえば、このような開発の場合、建ぺい率40%・容積率60%が一般的なのですが、当地区では建ぺい率50%・容積率80%となっています。この10・20の違いが経済的に大きな差を生むのです。ただ、これは行政サイドと組まないと実現できません。今でこそ行政も積極的に後押ししてくれるようになりましたが、当時は誰も手助けしてくれませんでしたので、何度も何度も県と折衝しました。

 ――まちなみにしても、開発の形態にしても、独特で非常に面白い。全国的に見ても珍しい形態だと思います。そういえば、ロゴマークにあしらわれている天馬も目を引きます。

 中冨 実は、あれも当地の歴史に由来するものです。宗像大社には「きじ馬伝説」というものがありますが、ご存知でしょうか。伝教大師・最澄が遣唐使に同行して中国に留学していたとき、そこで一頭の白馬(しろ)をとても大切にしていたそうです。でも、船で帰国する際に連れていけない。泣く泣く置いて帰るのですが、大師を乗せた船が嵐で遭難しかけるわけです。それを知った白馬は、海の神から羽を授かった天馬「きじ馬」となり、伝教大師を沖ノ島まで送り届けたという伝説です。

 ――歴史豊かな宗像ならではのエピソードですね。
 中冨 その「きじ馬」は、当地の民工品になっていまして、子どもたちが協力してこの民工品をつくり上げるなかで、互いに助け合いの心を育んでいったという逸話もあるのですよ。ロゴマークを決めるときに、皆さんから「シンプルなものが主流です」とさんざん言われたのですが、どうしても宗像の歴史や助け合いの心を込めたいとの思いがありまして、採用に踏み切ったわけです。ただ、シンプルな図柄ではないものですから、記憶だけでは書けません(笑)。

 ――中冨社長のまちづくりに対する情熱が込められているのですね。

(つづく)
【田口 芳洲】

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<プロフィール>
sityou.jpg谷井 博美(たにい ひろみ)
宗像市長
1940年5月生まれ
熊本大学法文学部卒業後、1963年に福岡県庁に入庁。福岡県企画振興部長などを経て、1999年に空港周辺整備機構福岡空港事業本部理事に就任。2001年に宗像市副市長(当時、助役)に転じ、2006年に宗像市長に就任。2010年に再選を果たし、現在2期目。

<プロフィール>
nakatomi中冨 清太(なかとみ きよた)
日創開発(株)・(株)くりえいと代表取締役
1942年1月生まれ
日創開発において、建設業および不動産開発事業に携わる。2000年に完成させた大型複合商業施設「くりえいと宗像」(くりえいと1丁目・2丁目)を成功に導き、11年秋には第二次開発となる「くりえいと3丁目」を完成させた。「くりえいと宗像」の年間集客数は1,000万人を超え、施設およびJR赤間駅周辺では各マンション業者の開発ラッシュが起こるなど、赤間地区活性化の立役者的な存在として知られる。

<プロフィール>
sinzyou新庄 信英(しんじょう のぶひで)
1956年7月生まれ
医学博士、新庄整形外科医院長、(株)メディカルスポーツライフ研究所代表取締役
山口大学医学部大学院を卒業後、山口大学付属病院、済生会下関総合病院勤務を経て、新庄整形外科医院を開業。05年には「医療とスポーツの融合と調和」を掲げたスポーツクラブ・「快適倶楽部リフレ」を開業した。スポーツドクターとしても知られ、九州共立大学スポーツ学部では客員教授として教鞭を握る。


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