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2代目経営者よバイタリティを失うな!~コジマの失敗に学ぶ最大の教訓だ(後)
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2012年6月 6日 11:02

<量販店の再編に取り残されたコジマ>
kozima.jpg 第3次戦争は2002年からだ。02年3月、デオデオ(広島市)とエイデン(愛知県名古屋市)の共同持ち株会社、エディオンが発足。新興勢力のコジマ、ヤマダに対抗するためだ。量販店のメガ再編時代が始まった。
 量販店の再編を促したのは「40%ルール」。これは、40%以上の出資関係がないと、メーカーから共同仕入を認めてもらえないという商慣行である。価格競争を勝ち抜くには、共同一括仕入れでコストを下げなければならない。この40%ルールのために、M&A(合併・買収)が連発されることになった。

 第3次戦争の勝者はヤマダ電機である。郊外型大型店で圧勝したヤマダは、02年にコジマから日本一の座を奪った。安売りを武器に、目覚しい急成長を遂げたコジマの成長は止まった。大型店化に乗り遅れ、M&Aによる業界再編に取り残されたことが響いた。それをもたらした最大の要因は、2代目への交代にあった。

 小島章利氏は87年東海大学を卒業後、父の勝平氏が創業した小島電機(現・コジマ)に入社。02年に38歳で2代目社長に就いた。だが、創業者がYKK戦争を戦った頃のバイタリティを失った。それでも、全国出店にこだわった。1店舗しかない県もあるなど、非効率な出店が目立った。09年3月期決算で2期連続の最終赤字に陥った。

<創業者が直面する世代交代という大問題>
 2代目社長の経営力のなさに危機感を募らせたのが、創業家一族の長老である小島金平相談役(85)とメインバンクの足利銀行。金平氏は創業者の勝平氏の兄で、自身も第3位の大株主(持ち株比率4.97%)だ。
 足利銀は、ライバルのビックカメラやヨドバシカメラ、さらにイオンやセブン&アイに、コジマとの提携を持ちかけたが、ことごとく断られた。家電メーカーもコジマとの取引に慎重になっており、信用補完は喫緊の課題となった。

 10年2月のコジマの取締役会で、章利社長は会長に祭り上げられ、常務の寺崎悦男氏(54)が新社長に昇格した。金平氏と足利銀が組んだクーデターだった。寺崎氏は金平相談役の娘婿で、鹿児島銀行から転じた銀行マン。寺崎氏に与えられたミッション(使命)は、コジマのM&A候補探し。今回、やっとビックカメラの傘下入りに漕ぎつけた。
 章利会長は、ビックとの交渉では蚊帳の外に置かれた。「寺崎社長は3年前から交渉を進めてきたと言いますが、私が話を聞いて計画を知ったのは今年3月末の取締役会です」(『日経ビジネス』5月28日号)と語っている。御曹司は、たった1人でビックカメラへの身売りに反対して解任されたのである。
 コジマ2代目の追放は、創業者たちの心胆を凍らせた。2代目が、創業者の荒々しいバイタリティを失うのは、コジマだけにとどまらないからだ。第4次戦争は都心を舞台に、3次戦争の勝者であるヤマダ電機と、ヨドバシカメラの間で戦われているが、ヤマダの創業者、山田昇会長は69歳、ヨドバシの藤沢昭和社長は76歳。やがて世代交代という深刻な問題に直面する。後継世代がトップを走り続けるという保証は、どこにもない。

 コジマの2代目の解任劇ではっきりしたのは、同族経営が成り立つのは、その会社が儲かっているうちだけだということ。2代目経営者に声を大にして言いたい。バイタリティを失うな!

(了)
【本誌取材チーム・佐伯 司】

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