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脱原発・新エネルギー

原発再稼働と野田政権(前)
脱原発・新エネルギー
2012年6月18日 11:25

 民主党政権はあっさりと原発再稼働を決めた。自民党の長期独裁政治からの政権交代を掲げ、あれだけ政治主導を連呼したにもかかわらず、政権交代からわずか3年弱ですっかり官僚の操り政権と化してしまった。国民からすると「裏切られた革命」である。

minsyutou.jpg 野田佳彦首相は6月8日の記者会見で「国民の生活を守るために大飯原発の3、4号機を再稼働すべきというのが、私の判断であります」と述べ、原発再稼働を高らかに宣言した。昨年3月の福島第一原発爆発事故で「レベル7」という人類史に残る大参事を引き起こしたにもかかわらず、その戦犯官庁である経済産業省の術中にはまり、彼ら経産官僚の描いたシナリオに完全に乗った格好だ。

 国内54基ある原発のうち、東京電力の福島第一、第二の合計10基は震災で壊滅的被害を受けて再開がままならず、残る44基は定期検査のため運転を止めている。北海道電力の泊原発3号機が5月5日に定期検査に入ったのを最後に国内の全原発が運転を停止したのだ。つまり、我が国はこの1カ月余、原発ナシで電力をまかなっていることになる。

 こうした事態に焦りを感じたのが電力・エネルギー業界を所管する経産省だった。原発がなくても国民生活が維持できるとあれば、このままなし崩しの脱原発が実現してしまうからだ。だから原発再稼働は同省の主流派官僚たちの悲願だった。

 原発依存度が9電力のうち最も高い関西電力は、この夏場の電力不足が心配され、経産省資源エネルギー庁で電力問題を所管する今井尚哉次長は関電の大飯原発3、4号機の再開に全精力を傾注してゆく。今井は原発再稼働を使命と感じている節がある。新日鉄の今井敬名誉会長と故今井善衛元通産事務次官を父とおじにもつ彼は、官界のサラブレッドである。「経産省は産業界からの信頼を失ってはダメなんだ」――今井が庁内で折に触れそうつぶやくのを部下の一人は聞いている。「今井さんの目線には国民は入っていません。気にしているのは産業界の意向です」と、この部下は打ち明ける。あれだけの災害を受けた福島県に、今井は足を踏み入れたこともない。下々のことは関係ないのだ。エリート意識丸出しの今井は、原発再稼働に使命感を感じていた。そんな今井の信頼を集めて暗躍するのが香山弘文原子力国際協力室長だった。彼も旧自治省の香山充弘事務次官の息子という霞が関のサラブレッドだった。似た者同士といえる。

 原発に対して冷淡で、国会で「現時点では再稼働には反対だ」と言ってのけた枝野幸男経産相を、今井たちはあの手この手で折伏し、再稼働に転向させることに成功している。とりわけ決め手は、仙谷由人元官房副長官の取り込みだ。もともと電力業界にパーティー券を多く買ってもらい、電力総連からの支援を受けてきた仙谷は、原発に甘い。今井が仙谷のもとを日参して意思疎通を深め、師と仰ぐ仙谷からの指導もあって枝野は転向せざるをえなかった。

(つづく)
【尾山 大将】

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