<発送電分離、どのように実現するか>
電力システム改革専門委員会の基本方針では、発送電分離の方法として、送配電部門を子会社にする「法的分離」と、送配電部門を独立させる「機能的分離」の2案を提案している。企業の経済活動や国民にとってメリットが多いようにするために、どのように実行していくのか。そこが大事だ。枝野幸男経産相は「法的分離がわかりやすい」と述べているが、「法的分離」は、形式上、既存の大手電力会社の影響力が送配電部門に残る可能性がある。
みんなの党の松田公太参議院議員は、ブログで、『電力自由化の道を進みたいと思っているならば、発電と送電の所有権をまったく別の会社にわけてしまうのがベストです。それが無理なら、ベターな案として、国際規格をベースとした独立機関に送電網を運用させること。つまり、「機能分離」です。今回の「分社化」案では親会社「東電(HOLDINGS?)」に子会社に発電会社や送電会社がぶらさがるだけですから、あまり意味がありません』と、発送電分離の推し進め方に懸念を示している。
発送電分離、電力の自由化は、諸刃の剣でもある。対抗馬がいないと、値上げのし放題になりかねない。消費者にとって、結局は不利だったということになれば本末転倒だ。
踏むべき順番として、まずは東電を破綻処理してから、発送電分離を進めるというのが、あるべき方向なのではないか。民間会社として、きちんとした手続きを踏み、ゼロにしてから、発電部門、送電部門、配電部門を別会社にして立ち直らせるというのが、適切な手順なのではないか。そうでないと、天下り先になり、消費者(=国民)の金を吸い取る会社になってしまうという危険性もはらんでいる。
<方針では総括原価方式の廃止明言>
電力システム改革専門委員会の発表した基本方針では、総括原価方式を廃止することも明言している。日本では、発電用の資産が高いほうが、電力会社の利益が生まれる「総括原価方式」が採用されている。電気料金のなかの、発電用の施設、核燃料などを含めた固定資産全体の約3%が電力会社の利益(事業報酬)になるという方式。施設を増やせば増やすほど利益が増えるというこの総括原価方式が、電力会社が利益を増やすために固定施設部分の大きい原発を推進してきた背景にあると言われている。
この基本方針通りに改革が進めば、電力の未来にとっての大きな転換点となる。
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