<ハード・エネルギー・パスとソフト・エネルギー・パス>
夏場、九州電力が供給する電力は、日中で約1,400万kW。午後2時~午後4時のピーク時で、1,500万kW程度か、それ以上になる。原子力や化石燃料を除いた電力が再生可能エネルギーと定義するならば、水力を筆頭に太陽光や風力、地熱やバイオマス発電などで、これを補わなければならない。しかし、発電というものには、それぞれ特性がある。
石油や原子力などの強力なエネルギーの大規模・集中利用は「ハード・エネルギー・パス」と呼ばれる。日本のような先進国では、大きくなりすぎた工業生産システムに依存しており、これらはハード・エネルギー・パスとセットと言っても過言ではない。しかし、こういった社会システムからの脱却が、真のエネルギーシフトには求められるだろう。
一方、ハード・エネルギー・パスの反対語が「ソフト・エネルギー・パス」である。これは、エイモリー・B・ロビンスが1979年に執筆した『ソフト・エネルギー・パス』で提唱した基本理念だ。要約すると、再生可能エネルギーを小規模利用する。また、エネルギーは、それを使用する場所で分散的に使う。そして、誰にでもわかるエネルギー利用技術を使うということにある。つまり、「ソフト・エネルギー・パス」は、地域に根付いた分散的で自給的(電気の地産池消と言い換えてもよい)な、社会システムへの移行を前提にしたものであると言える。
太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、どこでも手に入れることができる持続可能なエネルギーである反面、エネルギー密度は低く、分散的かつ小規模な利用に適正がある。つまり、ハード・エネルギー・パスである石油や原子力の単純な代替として、ソフト・エネルギー・パスの再生可能エネルギーは、適していないのである。これは、そのエネルギーの優劣ではなく、適正の問題である。
仮に、単純な置き換えを目指す場合、再生可能エネルギーの密度の低さを考慮すれば、火力発電所や原子力発電所以上に巨大な規模の発電所(および供給施設)が必要になる。こうした無理の結果として、間違った方向に工業生産規模を拡大させ、社会システムや環境に悪影響を与えてしまう可能性がある。
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