<阪神大震災から復活>
アジアの活力を日本の持続的な経済成長に取り込むため、上場企業で社長、会長を歴任したキャリアを持つ赤坂綜合事務所代表の荻坂昌之氏は、有為の若者たちがラオスなどアジアで羽ばたくのを積極的にサポートしている。
1960年、神戸市で不動産業のオギサカを創業し、グループ合計で年商980億円の会社に成長させたが、95年1月に起きた阪神・淡路大震災で神戸市などの不動産物件資産を消失。しかし、そこから不屈の精神で立ち上がった。東京に拠点を移した後、それまでのキャリアを買われ、赤字に転落した上場企業ヒューネットの経営者として復活。トヨタグループと組んで液晶事業に乗り出したり、緑化事業を始めるなど手腕を振るい、再建に貢献した。08年に経営コンサルタントとして、赤坂綜合事務所を設立。NPOグリーンフォーラムの理事に就任し、ラオスなどアジアを中心にメコン川流域各国の市場でビジネスを展開している。
オギサカの経営者時代にはアメリカ、ベルギー、イタリアなど世界各国で不動産事業を行った。3度のガン手術を克服し、78歳となった今も、タフに日本と東南アジアを行き来している。
<メコン流域の市場を取り込め>
不動産開発のキャリアを活かし、東南アジアではインフラ整備の支援に乗り出している。ラオスの国土は、日本の5分の3程度の広さ、人口は約656万人と、東京都の約半分。経済規模は、国全体で日本の地方都市と同等のレベルだ。荻坂氏は「ほかの企業は、みな人口の多いミャンマーやベトナムなどを向いているが、経済規模で有利だからと言って、ミャンマーばかりを見ているわけにもいかない。日本の持っているノウハウを、どの国にも平等に向け、その国の発展を支援していきたいと思っている」と話す。
北部の山地と南部の平地で高低差の大きいラオスは、水力発電に向いている。この地形的な資源を生かし、北部のホアパン県に小水力発電施設を設置し、発電。ラオスでは、電力は足りているが、メコン川流域の隣国ミャンマーなどでは、電力が足りていない状況。今後、中部のルアンプラバン県、南部のヴィエンチャン県などに活動の輪を広げ、メコン川周辺各国へ電力を売ることで、売電をラオスの輸出産業に成長させていこうと取り組んでいる。
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