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コダマの核心

激変木材業界の象徴【日進逝く】(1)
コダマの核心
2012年10月 3日 16:25

<適応の努力も及ばず自己破産>
 10月1日、木材・住器販売の日進(代表・松永浩典氏、福岡市博多区立花寺)が自己破産の申請を行なった。原因は急激な売上げの落ち込みである。2007年4月期年商40億円をあげていたのだが、12年4月期15億円までに急降下した。その原因は後ほど触れるとする。松永代表は、必死で激変対応をしてきたが【力及ばずして生き倒れした】という感じである。この会社を30年間、見守ってきた筆者がレポートする。

日進 親しい工務店の経営者から1日の朝一番に電話がかかってきた。「松永さんところの店が閉まっている。潰れたのかな?」という問い合わせであった。松永代表に久しぶりに電話で喋ったのは10日前のことだ。非常に切迫した印象を受けた。所属しているライオンズクラブの幹事役を終えたので慰労会をしようとしていたのだが、都合がつかなかった。以前ならば「ゴルフしよう、飲もう」と誘えばすぐに日にちが決定され実行していたのだが――。やはり資金繰りに追われると頭が一杯になるのだろう。
 電話をかけてきた社長は「取引業者の工務店の仲間達と次の注文の契約をしたのだが、突然の倒産で驚いている」と溜息をついた。日進の販売先である工務店の中には前払い(商品預け)で焦げ付いたところもあるという。どうして潰れたのか。結論は「木材・建材業界の中で大激変しているスピードに同社がついていけなかった」ということである。松永社長は決して努力を怠っていたのではない。必死で適応対策を打ってきていたのだが――。

<木材業界はファンション業界よりも移り変わりが激しい>
 昔々、と言っても40年前までは博多商人の中で木材屋の地位は非常に高かった。数多い資産家が存在していた。1970年を境にして木材業界の環境が激変した。要は住宅の工法がドラスチックに変化したのである。従来の在来工法からプレハブ住宅などのニューハウスの出現で木材使用量が激減した。プラス流通の大変革が進行して木材旦那商売は廃れていったのだ。大半の同業者は廃業に追い込まれた。家主業に転じていったのだ。現在の中央区長浜は【木材屋の町】として有名であった。
 前記した様に1970年を境にして住宅業界は日進月歩の時代に突入した。木材業界はこの波をまともに食らった。表現を置き換えれば「ファンション業界よりも流行のテンポが速い」のである。旦那衆が経営する木材業の業態が駆逐されるのは時間の問題であった。知らないうちに博多の町から【木材業】が消滅した感じだ。こういう【飛躍か消滅の運命を辿るか】の1970年の1年前の1969年2月に日進が設立されたのである。

 松永浩典代表の実父である松永篤氏(故人)が【日進木材市場】の商号でスタートした。創業者は筑豊木材販売会社のトップセールスマンでいた。「大票田の福岡で勝負しよう」と決断して八木山を超えてきた。創業者・松永篤氏は「今後の木材市場の形態は工務店・住宅会社へ直接売る直需型が本流になる」と時代を読んだ。それまでの木材市場というものは同業間の売り買いのスタイルであった。だからこそ同社の設立スタートは業界のベンチャー的役割を果たす宿命を背負っていたのである。業界を先駆けていたのだ。

(つづく)
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