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鹿児島のまるいストアが破産 ~中小零細スーパーの厳しい現実(後)
特別取材
2012年10月 5日 14:56

<独自性を出すしかない>
1005_s.jpg 鹿児島県に限った話ではないが、近年の九州の中小零細スーパーは安易にEDLP化、24時間営業に走ることで競合店に対抗しようとしている。だが、早急な業態変更は逆に"命取り"と指摘する声も数多く聞かれる。一向に景気が回復しないなかで、企業規模の大きい小売店では異常なまでの低価格帯商品が目白押しで、中小零細スーパーには厳しい経営環境となっている。例えば、食品スーパーでは普段自販機で販売されている清涼飲料水(150円)が100円を切る価格で売られているのは当たり前で、NB商品のポテトチップスは70円台で売られていたりする。低価格が当たり前の世の中になり、消費者のなかでも「定価って一体いくらだったっけ?」といった相場観が失われつつあるのが現実だ。全国のとある大手食品メーカーの担当者は、「デフレのなかでのこの低価格は異常であるが、九州は全国的に見てもひどい」と語るほどだ。

 低価格の背景には様々なことが考察される。小売店が無理をしているのか、それともメーカーとの間に入るベンダー(卸業者)が無理をしているのかはわからない。だが、大量購入・販売の手法は複数店舗を有する大手スーパーのみできる手法で、数店舗運営の中小零細スーパーには到底無理な話であり、身を削りながらビジネスを行なうことはいずれ限界を迎える。勢いのある企業のやり方を真似るのも一つの手ではあるが、最終的には独自性を出していくしかない。

 鹿児島で独自性を出す小売業といえば「AZスーパーセンターあくね」で有名な(株)マキオ(本社:鹿児島県阿久根市、牧尾英二社長)だろう。"利益第二主義"を掲げる同社は店名のAからZまでというイメージが示すとおり、仏壇から軽自動車までの約23万アイテムを取り扱い、種類は豊富である。売れ筋商品ばかりを集める従来の小売店とは逆の手法だ。だが、選ぶ側の消費者からすれば種類が多いのは買い物する楽しさにつながる。
 また、同社は阿久根市のほか同県霧島市、南九州市(旧・川辺町)に出店しているが、出店地は買い物に不便な地域やお年寄りの多い地域。競合店の多くが商圏人口や交通事情などの市場を把握したうえでの出店を行なうのとは違う。この独自性が消費者にも評価され、テレビや新聞などのマスコミの取材が殺到。期せずして、その試みが宣伝になり、さらなる集客につなげているのだ。

 今から40数年前、日本の食を支えたのは商店街の肉屋、魚屋、八百屋、総菜屋などの個人商店であった。しかし、その後、スーパーマーケットの台頭により次々と淘汰されていく。だが、現在において、周囲を見渡すと専門店が完全になくなったとは言えない。商店街や大型ショッピングセンターに行けば肉屋、魚屋、八百屋が独立して開業しているところを散見する。このような時代に何故、個人商店が経営を持続できているのか?それは独自性を打ち出しているからではないだろうか。
 例えば、とあるショッピングセンターに出店する魚屋は消費者に競合店にはできない魚の売り方をしている。魚の旨い調理法、野菜の組み合わせなどのアドバイスは、消費者にとっては頼もしい限りなのだろう。その店前には平日でも、いつも消費者がこぞって買い物をしている。専門店でもやり方1つで繁盛店になれるチャンスはあるのだ。
 大手の競合店に対して同じ手法で対抗しても、中小零細のスーパーは敵うわけがない。ゆえに小売業が今後、独自性を打ち出し、生き残っていく最良の方法は専門性を強化するにほかならないだろう。

(了)
【特別取材班】

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