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濱口和久「本気の安保論」

尖閣有事に対応するための海保の態勢強化を図れ
濱口和久「本気の安保論」
2012年10月31日 15:25
日本政策研究センター研究員 濱口 和久

<海保の厳しい現実>
 国境の最前線で日本の海を守るために24時間365日、監視・警戒活動に当たっているのが海上保安庁である。
 海上保安庁の定員は1万2,636人。そのうち巡視船艇・航空機などには5,961人の海上保安官が乗り組み、第一線で業務に従事している。世界第6位(447万平方キロメートルの排他的経済水域)が活動エリアの海上保安庁の人員の少なさには驚かされる。
 加えて、最近の沖縄県・尖閣諸島沖での中国監視船の度重なる領海侵犯などへの対応で、現場の保安官たちの緊張感は最高潮に達しているに違いない。

 海上保安庁は現在、全国30カ所の港に約360隻の巡視船を配備しているが、PLと呼ばれる1,000トン以上の大型巡視船は約50隻しかない。このうち30隻ほどをやり繰りしながら尖閣諸島を守っている。
 一方、中国は日本の2倍以上の260隻の巡視船を保有している。2020年までに現在の数の約2倍に増やす計画だ。

<海保の増強を図れ>
 野田佳彦首相は今年8月、記者会見で尖閣諸島周辺の警備体制強化を目指す考えを表明し、「海上保安庁の装備や人員の増強を図っていく」と述べた。
 具体的には、監視能力などを高めた1,000トン級の最新型巡視船4隻を2015年度から順次配備していくことが計画されている。
 しかし、日本政府による尖閣諸島国有化後の中国の監視船の度重なる領海侵犯などを受けて、前倒して2014年度から導入することが検討されている。

sea_4.jpg 人員の補充も必要だ。第11管区海上保安本部(沖縄県)の海上保安官は900人たらずで、巡視船などの船舶を動かす人員は約440人だけしかいない。 
 先の通常国会で、改正海保法「離島でも海上保安官が犯罪発生時、捜査や逮捕ができるようになる改正海上保安庁法」が成立したが、陸上(上陸)への対応に人員を回せば、その分だけ、海上(船内)が手薄になる。

 海上での活動は陸上以上に苛酷となる。熟練した技術も要求される。若い海上保安官の育成はもちろんだが、技量を身に付けるにはある程度の教育、訓練期間が必要となる。
 そういう意味では、経験豊かな熟練技術を持った退職後の海上保安官を積極的に再任用することも検討するべきである。
参考までに、来年4月に入校予定の海上保安大学校(広島県呉市)と海上保安学校(京都府舞鶴市)の受験申込者を合わせた数が過去最多の1万6,783人になった。昨年の1.5倍だ。
 厳しい環境に自ら志願する若者が大勢いることは、日本の「宝」と言っても過言ではないだろう。

<海保と海自の連携を阻むハード面の障害>
 海保の巡視船は洋上で燃料給油を受けることができないため、燃料が減れば港に戻らなければならない。一番近い石垣港でも往復340キロの距離にある。給油のたびに丸1日現場を離れなければならないのだ。
 この問題は、昨年の東日本大震災でも露呈した。救援活動する米海軍や海上自衛隊の艦艇は、すべて海自の補給艦が洋上で給油していたが、海保の巡視船は給油口の大きさ・形状の違いから、救援活動を中断して港まで帰らなければならなかった。
給油口の大きさ・形状を同じにすれば、尖閣諸島沖に海自の補給艦を待機させることにより、給油の時間を短縮することができるはずだ(朝雲新聞・平成24年10月11日付)。

 海保は自衛隊法第80条により、防衛出動や、治安出動において、首相の命令により防衛相の指揮下に組み入れられる。
海保と海自は10月24日、若狭湾で不審船追跡の共同訓練を実施した。今回の訓練は、中国に対する海保と海自の連携をアピールする狙いもあったと思われるが、洋上で給油ができなければ、将来予想される尖閣有事の際、防衛相の指揮下で、作戦行動を一緒にとれるのか、甚だ疑問である。

(了)

<プロフィール>
hamaguti_p.jpg濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。今年3月31日付でテイケイ株式会社を退職し、日本防災士機構認証研修機関の株式会社防災士研修センター常務取締役に就任した。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。5月31日に新刊「だれが日本の領土を守るのか?」(たちばな出版、現在第3版)が発売された。 公式HPはコチラ


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