福岡市都心の選挙区として注目を集める福岡2区(福岡市中央区・城南区・南区)は、民主への逆風から前職の苦戦が予想されていたが、自民候補の出遅れと第3極2党の参戦などによって混戦が予想される。
民主・稲富修二前衆院議員(42)は、「解散」がささやかれ始めた今年5月ごろから選挙へ向けての活動を開始。選挙区の隅々まで稲富氏のポスターが急増した。他の候補予定者に比べると、時間的に圧倒的に優位に立つ稲富氏だが、それでも焦りの色が隠せない。2009年の政権交代選挙の追い風から180°風向きが転じている今回の総選挙に対する危機感からだろうか。
一方、山崎拓元自民党副総裁が9月に政界引退を表明した後、後継となる候補者を公募した自民党は、11月16日の解散後、21日になって鬼木誠福岡県議(40)を選定した。12月4日まで約2週間と短いなか、陣営は選挙準備に勤しんでいる。また、選考の過程で福岡市議を推していた自民福岡市議団から不協和音も聞こえている。さまざまなハンデをどう克服するか、あるいは、新たな支持を獲得していけるかがポイントになるだろう。
浮動票の行方という点では「第3極」の存在が注目される。日本維新の会からは、旧たちあがれ日本系統で公認候補となった頭山晋太郎氏(35)、「卒原発」を掲げる日本未来の党からは、旧・国民の生活が第一の小谷学氏(39)が立候補を予定している。
頭山・小谷、両氏とも福岡が地元ではない「落下傘」の候補。頭山氏は、玄洋社を設立した頭山満氏のひ孫であることを強調するが、福岡の歴史に疎い転勤族が多い福岡2区では知名度アップの期待はできない。やはり石原慎太郎氏・橋下徹氏の2枚看板に頼る選挙戦となりそうだ。一方、ネット動画などを活用し若年世代へアプローチする小谷氏は「投票の受け皿がない」という脱原発派市民の受け皿となれるかがポイント。共産の倉元達朗前福岡市議(45)も「反原発」を訴え、無党派層への支持拡大をねらっている。
以上、微妙にリードしている感のある稲富氏を新人4氏が追い、浮動票をめぐる戦いが激しくなりそうな福岡2区。「みんな30~40代と、一気に若返りした。党の政策も重要だが、日本の将来についても志を熱く語ってほしい」と、南区に住む60代女性は語った。
※記事へのご意見はこちら