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回顧と展望2012~環境未来都市・北九州市
発信!北九州
2012年12月30日 07:00

<環境未来都市・北九州市の2012年を振り返る>
 かつては鉄の町として国家を支え、現在でも県下第2の都市として存在感を示す政令指定都市・北九州市。「環境未来都市」として新たな成熟都市のかたちを示しつつある、北九州市の2012年を振り返る。

<産業界での撤退と発足>
 2012年の北九州は、いささか景気の良くない話からスタートした。90年以上の歴史を持つ東芝小倉工場の撤退話が表面化したのは、11年11月のこと。北九州工場に勤める社員580人の雇用だけでなく、取引業者を含む160社の行く先にも影を落としかねない話だけに、市や県の行政機関に加え、各々の議会を巻き込んだ一大反対運動が、年明け早々繰り広げられることになった。全会一致で工場閉鎖反対の決議を行なった市議団は、工場側に撤回を申し入れ、小川洋・福岡県知事や北橋健治・北九州市長も東芝本社に乗り込むなど、懸命の説得が続けられた。超円高に加えて、中韓の成長企業との競争に晒される電機メーカーを取り巻く業界環境は、年々厳しさを増している。残念ながら東芝小倉工場は7月に操業を停止し、周囲の努力を望む結果につなげることはできなかった。しかしこの一件は、北九州における雇用問題・産業振興問題がいかに深刻なものであるか、重要施策に位置づけられているかを、端的に映し出していたように思われる。

 その北九州の産業界で、今年最大の話題といえば、新日鐵住金の発足(10月)だろう。1901年の官営八幡製鉄所の操業開始以来、100年を超える年月を跨いで北九州の屋台骨であり続けた新日本製鐵八幡製鉄所。八幡地区にはいまだ多くの関連施設が残り、工場移転後の現在では、戸畑区の面積の約3割を同社関連の工場群が占める。かたや小倉の大地主・浅野財閥にルーツを持つ住友金属工業小倉製鉄所も、1918年の操業開始以来、確固とした地位を築いてきた。両社は合併を機に新日鐵住金(株)となり、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカーへ」と謳うものの、重複分野での選別が予想される取引先は気を揉む時期が続く。
 ある取引業者は「住金さんは、業者に対してドライだったから...」とこぼし、新日鐵の流れを羨む様子ものぞかせる。ただし、方向性電磁鋼板の類似商品(韓・POSCOと係争中)に悩む新日鐵八幡でも、コストカット圧力が急速に高まっているとの話が以前から聞かれている。予算の制約から「鉄の団結」が崩れつつある状況下、結局は過去の付き合いより今後の取引条件が大きく加味されるようで、両陣営入り乱れてのイス取り合戦は、今後しばらく続くものと予想される。

<大型イベントが多数開催>
aruarucity.jpg 2012年は、北九州市で各種大型イベントが立て続けに開催され、観光資源に事欠かない1年となった。いずれもが注目を集めたが、小倉駅新幹線口の旧・ラフォーレ原宿小倉跡にオープンした「あるあるCity」(4月)の成功はとくに興味深い。アニメに漫画、アイドルといったアングラカルチャーをコンセプトに、全館丸々「オタクの殿堂」というべきテナント構成は、秋葉原に勝るとも劣らない徹底振り。オープン初日に訪れた利島康司・北九州商工会議所会頭の挨拶には、新世代の文化への驚きと戸惑いが入り混じり、堅い外見とユーモアのギャップが周囲の笑いを誘っていた。その後、8月には「あるあるCity」の5階・6階部分に、北九州市が運営する「北九州市漫画ミュージアム」も開館。4月に先行開業していた商業施設群と合わせ、晴れてフルオープンを果たした。施設全体を運営するアパマンショップ側は入場者数などを明らかにしていないが、ある商工団体関係者は「計画値を上回る推移」とコメント。中心市街地活性化を担う一事業としても、手応えを感じているようであった。

 10月には数多くの催し物が重なり、イベントラッシュの期間を迎えた。公的色彩が強いものとしては、青年会議所(JC)の全国大会や、全国商工会議所女性会連合会の北九州全国大会が挙げられる。いずれも全国から参加者が集い、1日数千名規模で人が動くイベントとあって、開催期間中は各所で大きな賑わいが見られた。また、これに先立つ9月には、北九州のシンボルでもある若戸大橋が50周年を迎えたこともあり、観光スポットとしての注目度が上昇。橋の袂にある商店街に「資料館めぐりのついでに」立ち寄ったという女性は、スマートフォンを片手に、かつて石炭集積地として活況を呈した町並みの散策に勤しんでいた。

 民間のイベントでは、「B-1グランプリin北九州」が大きな賑わいを見せた。B級グルメを愛する「愛Bリーグ」加盟の63団体が参加した本大会。JR小倉駅を挟み、北の「シーサイド」と南の「リバーサイド」の2会場に訪れた来客者数は、計61万人(2日間合計、主催者発表)と、過去最高の来客者数を数えた。最優秀となるゴールドグランプリに輝いたのは、「八戸せんべい汁」。胡麻やピーナツの入った「南部せんべい」を、肉や魚と野菜などを煮込んだ汁と一緒に食べる青森の郷土料理なのだそうだ。
 実は、運営者側は、来場者数を当初50万人程度と見込んでいたとのこと。天候に恵まれたこともあろうが、予想を大幅に超える来場者数は、このまちに眠る潜在的な消費意欲を周囲に見せ付けているように思われる。

<暴追運動は道半ば>
 北九州といえば発砲事件―不名誉なことに、その汚名を返上できない状況は今年も続いた。その多くに指定暴力団・工藤会の関与が指摘されているが、実際に捜査が進展しているのかについては、疑問の声も上がる。今年1月、北九州市のベッドタウン・中間市で起こった銃撃事件では、地元の建設会社社長が凶弾に倒れた。被害者男性は、暴追運動に積極的に関わっていたものの、周囲に目立ったトラブルも聞かれない(当時)。捜査は当初から難航の様子が囁かれていた。実際、ここ数年間、北九州地区ではこの手の銃撃事件が頻発し、なかには小倉北区の建設会社会長銃撃事件のように、死者まで出たケースもある。にもかかわらず、その大半が未解決という状況に、建設業界関係者からは暴追運動に対する無力感にも似た声が聞かれるようになっていった。
 加えて今夏、同じような状況に陥ったのが飲食や風俗の業界であった。暴力団追放の標章を掲げた多くの飲食店が、放火や傷害事件に巻き込まれるケースが続発したのだ。かかる事態を受けて、黒崎の繁華街では大半の店が標章を下したとされ、前述の建設業界と同じく、暴追運動の機運が後退した感も否めない。

 しかし、この状況を招いた責任の大半は、県警の検挙率の低さときめ細やかさを欠いた捜査手法にあるとの指摘も少なくない。中間市の事件では、容疑者逮捕(12月)の決め手は「事件で使われたものと同じ型の薬莢が見つかり、そこに容疑者の指紋が付いていた」というものだが、刑事裁判で有罪にできるだけの材料であるかは疑わしく、警察担当記者は「筋が良くない」と一様に口を濁す。また、スナック放火事件も、大半は容疑者が検挙されておらず、一部の事件に至っては暴力団絡みではなかったことも判明している。捜査の行き詰まりが住民の不審を買い、虚実入り混じった情報が暴追運動の後退を招くという悪循環に陥っているとの指摘だ。自身も暴力団から脅迫を受けた経験を持つ北橋北九州市長は、7月に「犯人検挙こそ最大の暴追運動」と強い口調で指摘し、治安回復の決意をあらわにしており、地道で息の長い取り組みが今後も続いていくことになる。


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