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「博多帯」vs「博多織」裁判結果について胸中を聞く~博多織工業組合・寺嶋貞夫理事長(前)
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2013年1月 7日 09:34

 12月10日、昨年4月に提起された博多織工業組合(福岡市博多区、寺嶋貞夫理事長)を原告、日本和装ホールディングス(株)(東京都千代田区、吉田重久社長)を被告とする、「博多帯」による「博多織」の商標権侵害などをめぐる裁判は、日本和装HDの勝訴という結果となった。ともに「博多」への熱き想い、「博多織」の伝統文化を失いたくないという気持ちを抱いているがゆえに、衝突してしまった。今回の裁判結果について、再び両者の胸中を語っていただいた。

――今回は日本和装HDにとって有利な判決となりましたが、率直なご感想をお聞かせください。

110623_hakataori.jpg 寺嶋 今回の判決に関しましては、我々は敗訴したとはまったく思っておりません。そもそも、対決姿勢をとっているわけではありません。こちらとしては、商標法で定められている「地域団体商標」に関して、「博多帯」を認めることになれば、何のためにそれがあるのかということが問題だと考えています。

 我々は控訴する方針ですが、地域ごとに商標を守っていくための法律のはずです。それをわざわざ、「効力がない」とするような今回の判決はおかしいのではないかと思うのです。もっと、知的財産権の方で明確な答えを出してほしいと思います。

 「博多織」のみならず、どこの伝統産業も、この世の中でいかに消費者に本物志向の良いものを提供できるか、そして産業の担い手を育成できるか一生懸命なわけです。そこに「博多帯を認めます」となれば、やはり地域団体商標の存在意義が問われると考えています。この一件で、各産地から問い合わせがきております。「理事長、この判決はおかしいじゃないか」という意見もあります。今回の件で、京都の西陣織も「こんなことをされたらたまらん」と慌てているようです。

 今回の判決理由が「なるほどな」と我々が納得できるものならば良かったのですが、とてもそうは思えません。「私は争うためではなく、伝統産業を守るために控訴します」と皆さんに伝えています。まだ「勝った」「負けた」の段階までいっているとは思えません。基本的で大事なことに触れられていないですし、誰が見ても腑に落ちない判決だろうと感じています。とはいえ、あまり感情的にはならず、我々は淡々とやるだけです。

 日本和装の吉田さんが当方に来られたときも、「あまりにも販売に関して行儀が悪いのではないか。こんな状態では組合に入れるという段階ではない」と伝えました。博多織は昨日、今日できたものではない、770年という古い歴史と伝統がある産業ですから、私はその産地を守っていく義務があります。裁判官にもそうした想いを少しでも理解していただければと思います。

 もちろん、私と吉田さんとでは立場が違うことは重々承知しております。先方は販売チャネルを拡大して伝統を守っていく、というお考えなのでしょう。とはいえ、こういうことが商売上有利になるという思惑もおありなのでしょう。しかし我々は、常に伝統産業を育てるというグローバル的な視点を持っておく必要があります。

(つづく)
【文・構成:大根田 康介】

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