ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ

臨床医から栄養学科の教授へ転じたわけとは!(1)~田川辰也氏
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月10日 10:17

 日本医療と日本社会、その根幹を支える国民皆保険制度が「内側からの制度崩壊」(財政破綻)と「外圧」(TPP)によって危機的状況にある。
 一方、自民党は政権公約の中で統合医療を取り上げ「統合医療は、現代西洋医学に伝統医学や各種健康法を組み合わせることで、より効果的で安全性が高く、心のケアにも重点を置いた患者中心の医療を目指す」と謳っている。
 国民にとって、健康維持・促進のために様々な手段が提供されることは良い事である。しかし、現状を考えると、必ずしも諸手を上げて賛成するわけにはいかない。医薬品業界(製薬会社、医師)、サプリメント(健康食品)業界、食品業界(自然農法等を含む)は、お互いに壁があり、仲が悪く「国民の健康維持・促進」という命題で連携できていないからだ。
 医師であり、栄養学に精通、この問題にシームレスに対応可能な数少ない日本人の1人、田川辰也氏(西南女学院大学保健福祉学部栄養学科教授)に聞いた。

<予防医学への注目 沖縄赴任が一つの転機に>
 ――先生に最初にお会いしたのは確か7、8年前だったと思います。その時、先生は第一線の臨床医でした。色々とお話した中で、先生が繰り返し強調された「予防医学」という言葉が耳に残っています。そして、その後の世の中の動きは、先生が予測されていたようになっています。先生は、なぜ「予防医学」に注目されたのですか。

tagawa.jpg 田川 私は九州大学の医学部を卒業して循環器内科医として九州大学部附属病院(今の九州大学病院)で働き始めました。当時は、自分の目の前で心筋梗塞を起こしている患者を助ける治療をしていたわけです。九州大学部附属病院での勤務を経て、北九州市立医療センターの循環器科で部長を約2年勤めた後、沖縄の琉球大学医学部医学科の助教授に就任しました。この沖縄への赴任が1つの転機になったと考えています。

 沖縄には、臨床薬理学講座の助教授として赴任しました。薬理学はご存知のように薬の学問ですが、臨床薬理学は少し異なり、人における薬の作用を研究する臨床医学です。さらに、私と講座の教授(植田真一郎氏)との共通点は、動脈硬化及び血管内皮機能を研究していたことです。
 血管は3層(内膜、中膜、外膜)で構成され、一番内側が内膜でそこに内皮細胞というものがあります。この内皮細胞はシリコンコーティングみたいに内側をツルツルにしていると同時に、一酸化窒素(NO)を分泌して血管を拡張させ、血管を動脈硬化から守っています。血管内皮細胞が障害されると、NO産生能が低下し、動脈硬化が進行、さらに心筋梗塞を引き起こします。

 私は九州大学、琉球大学時代を含めて、現在まで一貫して、どうしたら血管内皮細胞機能が良くなるのかを研究しています。植田先生も同じような研究をしていたので助教授として招聘されたのです。沖縄では食の欧米化が進み、糖尿病や今話題のメタボリックシンドロームの患者が多く、これらの症例は動脈硬化が進行しており、いわゆる中年の40・50歳代で、心筋梗塞の発症率が高くなっていました。

 もちろん、心筋梗塞の患者を治療することはとても価値のあることです。しかし、心筋梗塞を発症してしまうと、一部の心筋は壊死しますし、後遺症が残るケースが少なくありません。心筋梗塞になることを医学の力で予防できればさらに良いのではないかと考えたわけです。そこで、琉球大では主に心筋梗塞を予防するためにはどうしたら良いのかを研究しました。その結果、糖尿病やメタボリックシンドロームの患者では、血管内皮機能が低下していること、この血管内皮機能障害がレニン・アンジオテンシン系の阻害薬により改善することが分かりました。つまり、レニン・アンジオテンシン系阻害薬の服用は心筋梗塞の発症予防につながる可能性があるのです。

(つづく)
【文・構成:金木亮憲】

| (2) ≫

<プロフィール>
tagawa_pr.jpg田川 辰也氏
1989年九州大学医学部卒業、九州大学医学部循環器内科に入局、日本学術振興会特別研究員としてシドニー大学に留学(1997年7月~1999年12月)、北九州市立医療センター循環器科部長を経て2002年琉球大学医学部医学科臨床薬理講座助教授。2006年西南女学院大学保健福祉学部栄養学科教授に就任、現在に至る。

日本循環器学会認定循環器専門医、日本高血圧学会認定高血圧専門医(特別正会員、評議員)他所属学会多数。2000年第5回ファイザー循環器病研究助成「自律神経と高血圧」(優秀賞)、2004年第9回ファイザー循環器病研究助成「自律神経と高血圧」奨励賞他受賞多数。


※記事へのご意見はこちら

日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ一覧
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月22日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月21日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月18日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月17日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月16日 10:52
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月15日 16:26
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月10日 14:06
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月10日 10:17
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月 9日 13:57
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月 8日 14:49
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2013年1月 7日 11:29
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年12月12日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年12月11日 10:34
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年12月10日 11:39
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月25日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月24日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月23日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月22日 16:42
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月21日 14:16
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル