ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

クローズアップ

「PC遠隔操作事件」における"闇"(前)
クローズアップ
2013年2月19日 10:53

 2月10日、遠隔操作されたパソコン(PC)からの犯罪予告事件で、警視庁などの合同捜査本部は、IT会社員片山祐輔容疑者(30)を逮捕した。遠隔操作によるネット掲示板への書き込みでイベント開催を妨害した「威力業務妨害」の容疑である。

 昨年の6~9月、大量殺人や爆破などの予告が自治体のサイトに書き込まれ、幼稚園等にメールで送りつけられた事件があった。警視庁、大阪府警、神奈川県警、三重県警はこの件で4人の男性を逮捕、うち少なくとも2件は自供までさせている。しかし、これがすべて誤認逮捕で、警察庁長官がそれを認め、謝罪をするという前代未聞の失態を演じた。今回は、その真犯人逮捕――いわば警察の面目躍如という報道になっている。記者クラブのせいか、各紙横並びの内容である。しかし、一般国民にはとてもわかりづらい。

 そして、当の片山容疑者が「逮捕状に書かれたことは事実ではありません」と否認している。記者のまわりの複数の専門家に聞いてみた。

<警察の初動捜査の判断ミスが誤認逮捕の原因!>
img_s.jpg 専門家として、ズバリ「片山容疑者は真犯人と思えますか」と聞いた。「報道を聞く限り、猫の首輪についていたSDカードに犯人しか知り得ないソースコードがあったことが決め手となっている。それが本当であれば、限りなく犯人に近い」という点では一致した。
 しかし、ある専門家は「本当にそれがソースコードであるのかどうかは疑問である」と付け加えている。

 驚いたことに、専門家の間では「今回の犯人は絶対に捕まらない」と言う意見で一致していたと言う。それは、「トーア(Tor)」という匿名化ソフトが使われているらしいと伝わっていたからだ。
 昨年6~9月頃と現在の警察のサイバー犯罪捜査レベルは、まったく変わっていない。今回は、犯人が愉快犯なのか、勝手に現実世界に出てきたので、従来の警察手順が通用しただけである。

 「では、なぜ昨年は前代未聞の4人もの誤認逮捕に至ってしまったのか」と聞いた。これは簡単でまったく初歩的なミスだ。
 我々一般人は「アンチウィルスソフトで100%、ウィルスを検知できる」と考えがちであるが、専門家は誰一人「アンチウィルスソフトで100%、ウィルスを検知できる」とは考えていない。従って、出発点が違うのである。警察の誤認逮捕の問題点は、この初期判断に前者を選んだことによるものだ。ウィルスがいない場合にのみ、送り手が犯人という方程式が成立する。
 ある専門家は、わかりやすい例で説明してくれた。
 「警察の司法解剖と同じです。限りなく自殺に思えても、他殺の可能性も考え、慎重を期して解剖に回し、精査する必要があります」。
 現在、ウィルスは1日10万種類以上作成される。1つとして同じものが存在しない感覚で、アンチウィルスソフトがまったく追いつかないのである。

 警察もサイバー犯罪の捜査体制を強化してきた。現在、すべての都道府県警察本部には、サイバー犯罪専門の捜査本部が設置され、全警察官(26万人)のうち、約1,000人が所属している。ただし、採用時から専門知識を持つ捜査員はわずか200人、サイバー犯罪捜査官は80人である。
 サイバー犯罪はここ数年で起こってきたことなので、全都道府県での情報の共有がまだできていない。今回の「トーア(Tor)」の存在も、東京の警察庁、警視庁等でも限られた人物しか知らなかったことから、残念な結果に至っているのだ。

(つづく)
【金木 亮憲】

| (後) ≫


※記事へのご意見はこちら

クローズアップ一覧
クローズアップ
2013年2月20日 07:00
クローズアップ
2013年2月19日 10:53
クローズアップ
2013年2月 1日 14:18
クローズアップ
2013年1月15日 11:51
クローズアップ
2012年12月21日 13:56
クローズアップ
2012年12月18日 15:21
クローズアップ
2012年12月13日 14:11
クローズアップ
2012年12月10日 07:00
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル