<"ただならぬ"「老人国家」を目指せ!>
――最後に、日本国民が「無国籍料理」から「和食」へ回帰する為に、読者にエールを頂けますか。
永山 私はこの機に、日本は"ただならぬ"「老人国家」(年をとっても、健康で働き続けることのできる、とんでもなく素晴らしい国)を目指せと言いたいのです。日本には、なぜ「年とってもあれだけ元気な人が沢山いるのかと言われる国であってほしいのです」。高齢化社会対策はどの国おいても最重要課題です。欧米でも中国でも皆、日本の後ろ姿を見ています。この事は、天が日本人に与えた人類発展の為の使命と言えます。
私は今、大学で「和食文化史」の先生をさせていただいています。これも、天が私に与えてくれた使命のような気がしています。"ただならぬ"「老人国家」というか、「長寿国家」というか、「人類の健康」という命題に対して、もっと貢献せよと言われている気がするのです。その為には、何よりも自分がしっかり、いくつになっても仕事ができないといけないので、気をつけています。
私は世界中の料理を食べましたが、客観的に見て「和食」およびその食文化は、身体にも、自然にも優しいと感じています。
最近、アメリカでの講演後、中年女性から「日本のおばあちゃんはいくつになっても肌が娘さんみたいで綺麗だ。何を食べたらいいのか・・・」と質問を受けました。同じ内容の質問は、他の国で講演した際にもよく言われます。確かに、客観的に見て、日本の 女性は世界で一番、年の割に若く肌がきれいです。
その際は、私は「味噌汁」とお答えしています。「味噌汁」は味噌が原料のアミノ酸スープです。色々な成分が味噌のなかに含まれていますが、特に、植物性の女性ホルモンと言われるイソフラボンという成分が含まれているのです。老化を防ぎ、健康、若さを保ちます。
昔は、母親は嫁に行く娘に、夫と子供の健康を守り、病気予防の為に、味噌汁作りのコツをしっかり教えたものです。味噌汁には十徳(骨を丈夫にする、物忘れを防ぐ、イライラを防ぐ、病気を防ぐ、胃の調子を整える、血液のめぐりをよくする、整腸効果を高める、野菜の健康効果、長寿汁である、笑顔をつくる)があると言われています。
まずは、「味噌汁」がある食卓を最低でも1日に2回実現させて欲しいと思っています。自宅でも、外食でも構わないのです。
「味噌汁」(鰹節は入れた方が良い)は言わば、「和食」のシンボル的存在です。味噌汁があれば、普通はそこにご飯と漬物がつきます。味噌汁なので、他のおかずも肉系よりも魚系になる傾向が強くなります。日本人も、老若男女関係なく、そういう食べ方を心がけると良いと思います。
「和食」は、「おいしい、美しい、健康にいい!」と3拍子揃った理想食であるばかりでなく、中国料理に勝っても劣る事のない「医食同源」料理であることを認識、その偉大さに気づいて欲しいと思っています。
――ありがとうございました。
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