帝王学と呼ばれる気学。日本の経済市場に残る実業者たちも気学を事業や人生のなかに用い、重んじてきた。「吉凶は動より生ず」とは、気学の基本的発想だ。『動』が原因、『吉凶』が結果。人は知らず知らずのうちに自らの吉凶の原因をつくっている。常にリスクと背中合わせである経営者は、吉を招き、凶を避ける行動をとらねばならない。「運に支配されるのではなく、自ら運をつくる」を信念に経営コンサルタントを行なう「気学 導与会」は、現在全国に400企業の顧客を持つ。(聞き手:メディア事業部 黒岩理恵子)
<気学は古代より受け継がれた東洋哲学>
――『気学』は占いではないのですか?
中馬 違います。中国の春秋戦国時代に発祥した五行説と、漢の時代になって陰陽説と合体したとされる陰陽五行説をもとにした哲学です。大学でも講義に取り入れられ、東洋医学の基礎として、鍼灸の必須科目にもなっています。
人間は生まれた時から『本命』が決まっています。年月日によって体内に摂り入れた『気』に違いがあると考えます。だから人によって同じ時代の気を吸っても反応の仕方に違いが出る、と考えるのです。人生に違いが出るのは、私たち1人ひとりが体のなかに人とは違う大気、『気』を持っているからだという考えです。私たちのコンサルタントでは、相談者の方が生まれながらに持っている本命を見て、どのような『気』を体内に持っているかを図り、新しいことをやるときの大気の状態と合うかどうかを判断していきます。
――その哲学を使って、経営者の方々に経営リスクを避ける方法を指導していくのですね。
中馬 そうです。経営者は常に悩みを持っているものですが、多くを抱えているわけではありません。突き詰めれば2つぐらいです。しかしそれは右か左かの大きな選択を迫られるような、直観力を求められることです。そういうとき経営者は相談に見えます。私どもは方程式に当てはめてその方の大気を読み、どのような行動をとれば吉と出るか、どちらを選択すれば失敗しないか理論的な説明をしています。そうやって、リスクを回避させるのです。
――しかし、体のなかの気が決まっているのなら、リスクを避けたくても選択の余地がないのではないでしょうか。運命はある程度決まっているのではないですか。
中馬 そんなことはありません。気学は「人生は平等である」を指導する学問です。運、という漢字をよく見てください。運ぶ、と書きますね。良い大気を吸いたいのに、周りに悪い大気しかない、というのは、運が悪いということです。でも良い大気を吸いたければ運んでくれば良いのです。自分の気に合った行動をとれば可能になります。
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<プロフィール>
気学 導与会
会長 中馬 導与 氏(ちゅうまん どうよ)
1940年1月大連に生まれる。終戦と同時に内地に引き上げ、東京の中学へ進学。母が真言密教に精通していたこともあり、精神哲学にはなじみがあった。幼少のころから気学に興味を抱く。28歳で本格的に気学の道へ。42歳で独立。「気学 導与会」を設立。本社は滋賀県草津市矢橋町1274-2。
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