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前代未聞!歯医者破たんで被害者の会結成~「シティデンタルクリニック」倒産のウラ側(2)
倒産を追う
2013年4月 2日 13:14

 矢野理事長は2006年頃、自らが医療行為に専念することを理由に、新たに迎え入れた理事に医療法人の経営を全面的に委ねた。ところがこの理事は、経営の全権限を握ったことを利用し、過度の銀行借入れや二重リースを含むリース契約を組み、これにより得た資金の一部を着服する行為におよんだという。
 この結果、銀行からの借入は約3億5,000万円、リース債務は約6億円にまで膨らんだ。「シティデンタルクリニック」にとって、この債務は明らかに過大であり、月々の借入金の返済およびリース債務の返済に追われ、経営は悪化の一途をたどった。資金繰りに窮したことで、支払いが遅れた債権者からの訴訟もたびたび起こされるような状態に陥り、第8期目となる樹啓会の07年8月期決算では約1億8,000万円の赤字を計上した。
 
sora_11.jpg リストラの必要に迫られた樹啓会は、経営立て直しの一環として展開していた各地の診療所の閉鎖や組織改革に踏み切った。07年2月には「かすや歯科クリニック」の経営から手を引き、08年2月にはコンサルタント会社に顧問を依頼。同年5月には小倉の診療所も閉鎖し、人員面でも問題を起こした理事の代わりに新たな理事を迎え入れた。
 しかし、コンサルタント会社との間で、国民健康保険の診療請求権を譲渡したまま返してもらえないといったトラブルが発生。経営再建どころか経営状態のさらなる悪化を招いてしまった。
 
 インプラント手術の需要はあるにもかかわらず一向に経営が改善されないことで、矢野理事長は08年5月頃、新たな経営コンサルタントの指南を受けることになった。このコンサルタントは、複数の弁護士に金融機関やリース会社との交渉を依頼し、各債権者との交渉に入った。この結果、債権者との間で支払金の減額や返済期間延長などのリスケジュールを実施。歯科技工を内部技工に切り替えるなど経費削減も進めたことで、徐々に資金繰りは改善されていった。樹啓会の第10期目となる09年8月決算では、医業収益(売上高)5億465万円、医業利益906万円と黒字計上をするまでに回復した。
 矢野理事長の人任せの経営には驚くばかりだが、それでも業績回復のシナリオはできつつあった。だが、ことは順調に進まなかった。過度の借入れや二重リースなど問題を起こし、経営悪化を招いた張本人である元理事から訴訟を起こされたのである。

【特別取材班】

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