今年（2013年）４月１日、福岡県で「福岡県風俗案内業の規制に関する条例」が施行された。この条例は、大まかに言うと、飲み屋や風俗店への案内業を行なう場合、公安委員会への届出が必要となり、また、案内を行なう場所、日時に規制をかけるものである。

　同条例では、学校や病院、公共施設、住宅地などの近隣といった禁止区域での案内行為、案内業における未成年の雇用または未成年を対象とした案内行為には、「６カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」という罰則規定も設けられている。案内業への暴力団関係者の関与を排除する内容もある。届出では、風俗案内所の所在地を記載しなければならず、また、案内所の名簿に記載のない人間による客引き行為は認められない。同条例によって、近年増加している客引きが一旦整理され、管理下におかれることで、悪質な客引きが減ることが期待されている。

　しかしながら、小生が中洲パトロールをした限り、条例違反と思える客引きが激減したようには思えない。とくに、同条例によって中洲で禁止されているはずの午前１時以降の客引きによく遭遇する。小生が気分よく酔っ払い、一路自宅へと向かうところで「ラスト１軒、どうですか？」の声に興ざめしたこともしばしば。最初はやんわり断っていても、２度、３度としつこく来られれば、かなり不愉快な思いをする。ダメ元の手当たり次第なのだろうが、せめて時間厳守をお願いしたい。

　とはいえ、ニーズがあるからこそ条例違反の客引きが続けられていることも事実だ。ほとんどの飲み屋や案内所も休業している日曜の夜。中洲大通りにいるのは、届出をしているかどうかが怪しい客引きが多い。営業中の店を見つけるには、知っている人に聞いたほうが早いのはたしかで、日曜の中洲事情を知らずに来るのはほとんど地元以外の人と言える。ただし、日曜以外でも、客引きに声をかけ、案内を頼む客の姿も珍しくない。なかには、常連の場合、自ら手出しした分、安い料金で案内する営業努力も行なわれているという。

　ひと昔前なら、中洲でも泥酔客へ声をかける案内業者は、ほぼ高額ぼったくり店の手先だった。もっとも24時間営業のぼったくり風俗店さえ実在していたぐらいだが、最近では聞かない。今は、せいぜい「ラスト１軒」で財布のヒモをゆるめて、場合によっては多少後悔するぐらいかもしれない。ただし今後もずっと、ぼったくり店への強制連行といった悪質な客引き行為が行なわれないという保証はない。

　条例施行から１カ月、今後も飲食店や案内所に対してさらなる周知徹底が図られるだろうが、利用する側の同条例への理解も必要なのではないだろうか。

≪　（４）　｜　（６）　≫

▼関連リンク
・福岡県風俗案内行の規制に関する条例の概要（福岡県警HP）

※記事へのご意見はこちら