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自立する地域社会

福岡のまちづくりはアジアとともに(後)
自立する地域社会
2013年4月29日 07:00

(株)環境デザイン機構 代表取締役 佐藤 俊郎 氏
福岡市住宅供給公社 理事長 瀧口 研司 氏
(株)シェルフアソシエイツ 代表取締役 坂口 敬司 氏

 福岡は歴史的にアジアと日本の玄関を担ってきた。平安時代には鴻臚館が設置され、外交の要衝として、大いににぎわいを見せてきた。ところが近年、その役割は薄まってきている。未来に向けて福岡の存在感をいかに示していくべきなのか。福岡市住宅供給公社理事長・瀧口研司氏、(株)環境デザイン機構代表取締役・佐藤俊郎氏、(株)シェルフアソシエイツ代表取締役・坂口敬司氏に、福岡の発展の可能性について、うかがった。

(聞き手:弊社代表・児玉 直)

<住宅・建物に価値観を見出せ>
 ――住みたくなるような福岡になってほしいとは、常々思っています。魅力のある街になって、積極的に住みたい、と思わせるような街であれば人が集まりお金も動きますから。ただ、住宅事情は必ずしも良いとは言えませんね。

  瀧口 そうかもしれません。これは福岡に限ったことではありませんが、日本では建物の価値の位置づけが異様に低いように思います。時間が経てば建物の価値がどんどん下がっていって、最終的には土地代だけになってしまいます。日々の生活を豊かにするという意味からも、環境も含めて建物の資産価値を高める方策が必要だと思います。

 佐藤 アメリカの場合は建物に手を入れて付加価値を育てること、それを正しく評価することが発達しています。それがあるから、生活スタイルに合わせて家を移り住むことが可能となっているのです。
 たとえば30代で結婚したての若者が小さな家を買い、子どもが大きくなるにつれて大きな家に住んでいき、巣立った後は都心部のマンションに居を移すということが日常的に行なわれています。中古住宅市場が発展していればこそ、できることですね。
 日本では大きな家に高齢者夫婦が住み、手入れもままならないというケースも多々あります。一方で、子どもがいても狭いマンションに住まざるを得ないケースもあり、居住空間のミスマッチが起きていると言えます。理想論かもしれませんが、高齢者2人は都心のマンション、若者は郊外で広い家というように、取り換えっこができるような仕組みができたらよいのではないかと考えています。
 この仕組みが本来、国自体に備わっていないといけないのではないでしょうか。

sakaguti.jpg  坂口 アメリカは土地、建物の双方に価値を見出していますから、転売することができます。建物への正当な評価をなさなくては、建物を所有したいという意欲が育たなくなってしまうでしょう。

  瀧口 "土地神話"ではありませんが、家を買ったらどんどん値段が上がるということを信じてやってきた裏には、経済成長という考え方が根底にありました。今、失われた20年と言われるほど、経済が停滞しています。その状態では土地のみに価値を見出すような価値観では、資産価値が下がらざるを得ない状況だと言えます。建物に正当な評価を与えるということは、非常に重要なことですね。

 佐藤 福岡の都市圏にも、未来に残したい建物がいくつもあります。土地だけに付加価値を与えると、そういった文化的に価値のある建物すら取り壊されてしまいかねません。家を買って住むことを安心してできるように、価値観をシフトする必要が出てきていると思います。

 ――中古住宅市場の方向性は、今後、大きな課題になると思います。福岡市には固定資産税として1,000億円あまりが納税されています。これは財源としては大きいものです。土地の魅力は景気に左右されますが、建物の魅力はそうではありません。もっと、建物にも価値を与える必要があるでしょうね。

  瀧口 震災後、福岡市や近隣都市に関東から居を移す方が増えてきています。東京で長い通勤時間とゆとりのない生活をするよりも、福岡でゆとりを持って過ごしたいという意識が芽生えてきているのでしょう。
 たとえば、糸島などは海、山、食のブランディングに成功していますから、都会の方々には魅力があると思います。都市部での生活では得られない何かを求めて、福岡に移り住む、土地、建物だけではなく、環境自体に付加価値を見出す、そういった考え方の変革も起こっていっているのだと思います。

  坂口 福岡には大学が多くあるという特徴があります。大学が多いということは、一定期間、強制的に福岡に住むことになるということです。これによって、福岡は若者の比率が高い都市となっています。若者の新しい価値観と活力で、福岡の街を盛り上げていってほしいと感じますね。

 ――アジアの拠点都市であり、ビジネスの場であり、居住の場である福岡の発展を心から願わずにはおれません。未来が明るいものになるように、一歩一歩前進してほしいと思います。本日はご多忙のなか、大変貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

(了)
【文・構成:柳 茂嘉】

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