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「維新銀行 第三部 クーデター」~第2章 クーデター当日(44)
経済小説
2013年5月 8日 07:00

<取締役会議(5)>
前回に引き続いて取締役会議で攻勢に立った守旧派の人物像についての説明をしていきます。
このなかで読者の皆様はすぐお気づきになられるかと思いますが、6人中5人が組合出身の取締役であり、もう1名の古谷首都圏本部長は谷本相談役と同窓のS大学出身者です

(3)守旧派(6名)
・北野俊弘常務取締役(安芸本部長)
第17代組合委員長(D大卒) 川中隆史と堀部正道とは海峡西高の同級生。栗野の勧めにより山上の保険勧誘に協力し谷本に認められる。谷野頭取は北野を太平洋産業の常勤監査役へ転出させる予定であったが、栗野の退任と引き換えに留任が決まる。

・川中隆史常務取締役(営業本部長)
第14代組合書記長(S大卒) 谷本が総務部時代の課長代理時代に利用していた割烹の息子で、谷本の勧誘を受けて維新銀行に入行。谷本の推薦を受け取締役に昇格。頭取の谷野は、川中を関係会社の維新保険サービスの社長へ転出させる予定であったが、北野と同様に栗野の退任と引き換えに留任が決まる。谷野執行部体制でNo.2の要職にありながら、保身のために谷野を裏切りクーデター派につく。

・松木隆司取締役(東部支店長)
第15代組合副委員長(高卒) 山上の保険勧誘に協力。谷本の娘婿の弟に当たることもあり、2001年6月、沢谷に次いで高卒2人目の取締役に抜擢される。クーデター後は取締役会議での功績が認められ常務取締役に昇格。

・大島俊之取締役(本店営業部長)

第15代組合書記長(R大卒) 書記長であった大島、委員長の大神剛、副委員長の松木隆司の3人とも、山上の保険勧誘に積極的に協力した実績を谷本に認められ、三役全員が取締役に抜擢された。大島は後に維新銀行が北九州市に設立する九州維新銀行の頭取となる。

・古谷政治取締役(首都圏本部長)
谷本と同窓のS大卒:海峡駅長の父親が谷本と知り合いであった関係で、その伝を頼り維新銀行に入行。山上の保険勧誘に積極的に協力したことが認められ、谷本の秘蔵子となる。谷野頭取更迭後の頭取として吉沢常務の名が挙がったが、古谷は谷本相談役と第五生命の山上正代保険外務員の推挙を受け、末席の取締役から頭取の椅子を射止めることになる。

・原口俊也取締役(福岡支店長)
第16代組合書記長(G大卒) 谷野頭取の推薦を受けて取締役に抜擢される。しかしその翌年組合出身の沢谷専務の説得に応じ、取締役に推挙してもらった頭取の谷野を裏切ってクーデター派につく。その行為が維新銀行内では白眼視されたこともあり、新天地を求めるように、維新銀行が当局より引き受けさせられた破綻寸前のみやじま銀行の頭取に転出する道を選ぶ。

 上記の人物像から、谷本相談役が頭取として君臨した10年間、いかに情実の役員人事が行なわれていたか、また「谷野頭取交代劇」がなぜ成功したかが、一目瞭然に読み取れる。
この歪んだ人事体制を是正するために改革に取り組んだ谷野頭取であったが、この後展開する「取締役会議」で既得権益を守ろうとする守旧派の激しい反撃を受け、ついにそのポストを追われることになる。

(つづく)
【北山 譲】

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※この作品はフィクションであり、登場する企業、団体、人物設定等については特定したものでありません。


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