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「原発依存国家」(『週刊SPA!』原発取材班著)発刊
書評・レビュー
2013年10月 8日 15:34

 福島原発事故後、『週刊SPA!』やWebニュースサイト『日刊SPA!』に連載されたものの内、読者の反響の大きかったものを再掲載した「原発依存国家」(扶桑社新書)が発刊された。新聞、TVの報道では、明かされることがなかった事実が数多く掲載されており、読者が自分で真実に迫ることができる一冊となっている。

<原発のカネを自然エネルギーへ回せ>
 原発事故から2年以上の月日が流れ、福島第一原発に関する報道はめっきり少なくなった。そこに、小泉純一郎元首相の爆弾発言である。9月24日、東京港区六本木ヒルズで行なわれた講演会で「原発ゼロ」を熱く高らかに訴えたのだ。

 「政府はできるだけ早く原発ゼロを提示せよ。原発のカネを自然エネルギーへ回せ。政治・首相が決断すれば、多くの国民がどんどん協力する」と久々の小泉節である。新しいことは何も言っていない。しかし、正論である。何よりも引退した今も、政界に影響力があり、そして国民にも好感度が高い元首相の発言である。

 この「脱原発宣言」を受けて、早速、小沢一郎・生活の党代表、民主党・菅直人元首相が相次いで賛同の意を表明。自民党若手議員の中からも「反核燃サイクル」の狼煙が上がり始めた。「汚染水問題」発覚の前までは、海外への原発売り込みで、さながら「トップセールスマン」の役割を果たした安倍首相はこの発言をどう受けとめるのか。復興政務官に就任した小泉進次郎議員も含め、原発政策を巡り、新たな"闘争"が始まる。

<ロボットが倒れる現場で人間が働く>
 本文は(1)福島第一原発は今これだけ混乱している(2)安倍政権「原発セールス」に世界が反発(3)マスコミが報じない「原発ニュース」(4)原発と闘う小さな島の30年史(6)原発を造った男たちの原発批判を聞け(6)首都圏を襲う「放射能の黒い粉」(7)恐怖の「黒い粉」の実態(8)放射能まみれの土が日本中にバラ撒かれている(9)「原発のゴミ」が引き起こす地獄絵図(10)全国に拡散する行場のない「核のゴミ」(11)「原発は廃炉」が経済的に正しかった!
 (12)原発中毒から抜け出せない日本(小出裕章・京都大学原子炉実験所助教)で構成されている。

 「高放射線量の現場に行なったロボットのチップが壊れて倒れる。そのロボットを助けに行なったロボットもまた倒れてしまう。結局、人間が行き、何とか収束させる以外にない」、「汚染した作業者は免震棟の2階にある東電の詰所に行き、"汚染してすいません"と謝らなければいけない」(事故収束のために働く原発作業員の座談会)

<「原子力の歴史」は「戦争」とそっくり!>
 原子力の歴史は戦争とそっくりである。国家という存在がやると決めて、政界・経済界・マスコミをはじめ、皆がそれにのめり込んで行く。「原子力こそ夢のエネルギー。事故など決して起こさない」と宣伝がなされ、国民の多くがそれを信じ込まされる。

 しかし、福島の事故は起こり、人々の苦しみは、現在でも全く軽減されずに続いている。この現実を「しっかりと目を見開いてみて下さい」と小出氏は訴える。(「原発中毒」から抜け出せない日本)

 国や電力会社はいまだに情報を小出しにしているが、福島第一原発建屋の状況、汚染水流出の状況も、小出氏が事故直後から懸念していたことが現実になりつつある。

【三好 老師】

<プロフィール>
三好 老師(みよしろうし)
 ジャーナリスト、コラムニスト。専門は、社会人教育、学校教育問題。日中文化にも造詣が深く、在日中国人のキャリア事情に精通。日中の新聞、雑誌に執筆、講演、座談会などマルチに活動中。


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