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土を踏みしめ、畑の中を歩くと元気になる!(2)~農業生産法人ユニオンファーム 杜建明 総農場長
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2013年10月10日 07:00

 ――日本へはどんなご「縁」で来られることになるのですか。

 杜博士 当時の園芸学部長は日本の千葉大学園芸学部で研究経験がありました。その関係から、学部長を通して日本の奨学生のお話を頂きました。
 私は大学時代の第1外国語が日本語でした。大学等中国を訪問された日本人研究者の通訳も経験、日本の大学の先生と手紙等を通じすでに交流がありました。留学先は、自分で決めることができる条件でしたので、研究を通じて交流のあった筑波大学の果樹研究室にお世話になることにしました。1994年に筑波大学に留学にするために来日しました。

<博士課程卒業を控えた前年に運命的出会い>
 ――なぜ、有機栽培を志すことになったのですか。

to_kenmei2.jpg 杜博士 大学の博士課程を卒業前年の97年、運命的な出会いがありました。それは、アイアグリ(株)玉造社長とお会いしたことです。当時、アイアグリは農家の店「しんしん」」を通じ、農業従事者に、農業資材、農業機械、農薬、肥料等を提供することで知られた会社でした。

 玉造社長から「有機栽培農場」をやってみないかというお話を頂いたわけです。それは玉造社長の夢とも言われました。それまで、私は研究生活一筋の人生でしたので、最初は驚きました。おまけに、その条件に、「経営として成立する」という枕詞がついていました。むしろ、この点に"挑戦してみたい"という自分の気持ちが高まったことを覚えています。

<環境や人間に害を与えないとは言えない>
 ――杜博士の考える有機栽培とはどのようなものですか。

 杜博士 現在一般的に言われて栽培方法は慣行栽培、有機栽培、放置栽培、自然栽培(「奇跡のリンゴ」でTV・映画で話題)の4つに分かれます。しかし、最後の2つは、話題性は高いですが、「経営として成立」の条件を満足することがかなり難しいと言えます。

 では、先の2つの違いは何か。それは「化学合成農薬を絶対に使わない」のが有機栽培と言えます。専門家の中には「化学合成農薬は適正に使用する限り、食べる人に影響を及ぼすことはありません。化学合成農薬が安全なのは、科学的事実です」と言われる方もいます。
 確かに化学合成農薬は飛躍的に進歩しています。今の化学合成農薬は、かなりピンポイントで防除したい害虫や病気だけに作用するように開発されています。1年後、2年後単位で考えると土壌への影響も少なくなってきています。その点で、私は、研究者として、慣行栽培(現行)を全く否定していません。何よりも、有機栽培だけでは、現代人類の食はとても賄いきれません。

 しかし私の心のなかには、「化学合成農薬がいくら進歩しても、人間が作ったものである限り、環境や人間に害を与えないとは言えない」という気持ちが残っています。同時に、私は大学で植物生理学や園芸学を専攻し博士号をとった人間です。慣行栽培ではなく、有機栽培に挑戦し、「新農創造」(ユニオンファームの社是)を果たす責任を感じています。

(つづく)
【金木 亮憲】

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<プロフィール>
to_kenmei_pr.jpg杜建明(と けんめい) 農学博士
江蘇省宜興市出身。南京農業大学を卒業後、1986年にイタリアのボローニャ大学に留学。帰国後、南京農業大学で講師を務めた後、94年に来日、筑波大学で農学博士号を取得。98年にアイアグリ(株)農業技術チーム主任研究員。2004年に(有)ユニオンファーム取締役総農場長。趣味のコントラクトブリッジでは、2度の「茨城県知事杯」優勝経験がある。


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