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【緊急検証】久留米市総合都市プラザは市民の財産か負債か?(後)
特別取材
2013年11月 5日 12:04

<期待と現実>
kurume.jpg 「反対ばかりしていても前には進まない。総合都市プラザを成功させることで活性化するようにみんなで考えていかなければ」という同プラザ建設に前向きな声もある。そのほか、「昔は久留米球場で大物歌手を呼んだコンサートもあったが、大人数収容の施設がないため、ここ数十年は大物と呼ばれるアーティストが来ていない。これが実現できればそれは嬉しいことだ」(市民)、「(六角堂広場よりも)今まで以上にたくさん人が来てくれれば、それは町の活性化につながる」(商店街関係者)などと期待する声も少なくはない。

 西鉄久留米駅前の商店街は20年前と比べ活気を失っている。20年前は土日ともなれば1日1万8,000人近い通行客があったと言われているが、現在は3,000人通れば多いほう。これは10年前に近隣の久留米市新合川に開業したゆめタウン久留米に客足を奪われることが大きな要因ともいわれている。6分の1まで集客減に見舞われた商店街にとっては、再び活気を取り戻すための起爆剤として総合都市プラザに期待している。165億円の血税を投じてでも、衰退している西鉄久留米駅前の一番街アーケード商店街や総合都市プラザに隣接する六ツ門アーケード商店街を含めた11の商店街からなる「ほとめき通り商店街」が活性化し、ゆめタウン久留米のように年間200億円もの売上高を上げる商業地域ともなれば、誰も文句は言わないだろう。

 しかし、大型スーパーと大型家具雑貨店、スポーツ用品店、フィットネスクラブ、複数の専門店を兼ね備え、駐車場料金も無料のゆめタウン久留米に太刀打ちするのは容易ではない。成熟している小売業界のなかで、郊外型施設として成功してきた業界最大手イオンと地場で大きなシェアを持つゆめタウンのイズミに、集客のノウハウがある。イオンは総合都市プラザと商店街を囲むように、福岡県大木町、佐賀県上峰町に大型店を開業している。さらには今年11月には近隣の福岡県小郡市に「イオンスーパーセンター小郡店」を開業する。これに対して、公共施設である総合都市プラザは1階部分の一部に商業施設が入り、周辺商店街と連携するとしているが、施設自体は市が収益を求めておらず、維持管理費は、現・市民会館の5億円に比べ倍の10億円もかかると言われている。周辺の商店街が活性化すればよいが、施設の赤字分は最終的に市民の負担になる。建設を推し進めるためには、全市民が納得し、理解が得られる内容で行なうべきだ。

 建設を推し進めるには地域住民の協力も必要である。しかし、残念なことに総合都市プラザの駐車場台数に注文をつける近隣の駐車場オーナーもいるという。理由は、「(総合都市プラザに)駐車場がたくさんできたら、うちに停める人たちが少なくなる」というものだ。地域住民も得られなければ、実際に稼働しても思ったほどの期待は得られない。

 現在、旧六角堂広場、久留米井筒屋跡は仮囲いされている。見えなくなっているのは建設現場だけではない。165億円の血税を投じて建設すべき施設かどうかを推し量る上で必要な収支計画の公表が遅れているのだ。

 アベノミクスも市民生活においてはいまだ実感がなく、今後の負担が増えることをとても心配している久留米市民もいる。総合都市プラザは市民にとって財産か?それとも負債なのか?その答えを誰もが確信を持っていえないなか、建設工事が進んでいく。

(了)
【特別取材班】

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