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東京独り勝ちの日本最前線レポート(前)
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2013年12月 2日 12:10

 3年3カ月の民主党政権から、安倍晋三総理のもと自民党政権が復活して間もなく1年が経過しようとしている。「日本を取り戻す」というキャッチフレーズを掲げ、アベノミクスと呼ばれる経済政策を打ち出しているが、いまだ地方経済に回復の流れは見えてこない。支持率は依然高いとはいえ、当初の期待から、取り残された地方から批判の声が上がりつつある。実態は首都東京(とその周辺都市)だけが独り勝ちの様相だ。"勝ち組"東京の実情はどうなのか、11月20日から22日まで東京にて取材したものを報告する。

<LCCの人気ぶりとデメリット>
 11月20日、午後4時30分福岡空港発の飛行機で、東京に向かった。今回、初めてLCCであるジェットスターを予約し、成田空港行きの便を利用してみることにした。普段は羽田経由で、東京入りするので、海外行きの経験が少ない記者にとって初めての成田行きでもある。

 福岡⇔羽田便は、ドル箱路線と言われながら、平日は全日空でもスカイマークでも意外に空席があるが、ジェットスターは低価格が売りのため、毎便ほとんどが満席状態。手荷物は小さめのキャリーバッグと一袋のお土産しか機内に持ち込むことができない。大きいサイズのキャリーバッグや重さ10kgを超える場合は有料で預けることとなる。ネット予約の時点で手続きをしておいた方が、空港のカウンターで追加支払いをするより安い。
 また、同社では、他社便では制限のないビールなどアルコールを持ちこむことが禁じられており、一般価格より高いビールなどを買わなければならない。これには少々不満を感じられたが、デフレ不況のご時世、長距離の旅の楽しみの1つである飲食に制限をかけられても、1万円以下(10日以上前の予約であれば5,600円程度で済む)で東京に行けるとなれば、利用者が多いのは必然だろう。乗客もビジネスマンと思しき層は少なく、大学生や一般の観光目的の人たちが目立った。1時間半のフライトで、10分ほど遅れて成田空港へ到着した。

<東京が一望できるスカイツリー>
東京スカイツリー 出迎えてくれた東京都内の某私鉄に勤務する友人の案内で、京成成田スカイアクセスで東京スカイツリー(東京都墨田区)へと向かった。

 成田空港からスカイアクセスでスカイツリーのある押上駅までは1時間。到着すると、駅から通路を伝ってすぐスカイツリーの入口へつながっている。冬をイメージさせる青と白のイルミネーションに、流れるクリスマスソング「ラストクリスマス」。すっかりクリスマスの気分だ。周りを見渡すと、至るところに楽しそうに写真を取り合ったりするカップルの姿が見られた。男2人で昇るのは不似合いな感じを抱きつつも、手荷物検査を受け、スカイツリーをイメージした制服に身を包んだ女性スタッフの案内で展望台に上ってみた。

 2012年5月に開業した東京スカイツリーは、地上デジタル放送など電波の送信を目的に建設された。高さは634メートル。江戸時代までのこの地域の呼び名であった武蔵国にちなんで634(ム・サ・シ)メートルとされた。2011年に世界一高いタワーとしてギネスの世界一の記録を受けている。

 建設にあたっては、3つのコンセプトが掲げられた。
1.時空を超えた都市景観の創造、日本の伝統美と近未来的デザインの融合
2.まちの活性化への起爆剤として、賑わいと親しみを感じる3つのゲートと2つの展望台
3.都市防災「安全と安心」への貢献、日本古来の建築「五重塔」に通じる新たな構造システム
 事業主体は、東武鉄道が筆頭株主となる「東武タワースカイツリー(株)」。施工業者は大手ゼネコンの大林組で、設計は日建設計。着工から3年半で竣工した。これによって、東京に多い高層ビルの影響を受けることなく、電波の送受信が可能となった。

 地上から600メートルを超える建築物となると耐震設計も重要になるが、東京スカイツリーは地下50メートルの強固な地盤の上に建てられている。さらに、杭に節をつけることで地面との抵抗力を強め、安定するよう設計されている。溶接にあたっては手作業による職人技も活かされたという。
 特徴的なのは、建物の中央に奈良の五重塔に似た「心柱」と呼ばれる柱があることだ。これは、鉄筋コンクリートで造られた375メートルの円柱と外周部の鉄骨造の塔体それぞれが別に作用することで、揺れを打消し合う効果「心柱制震構造」があるという。起きてほしくない事態だが、火災などでエレベーターが利用できない事態も想定される。避難階段はこの「心柱」の中にあり、展望回廊から地上まで2,523段ある。安全に避難できるよう、階下までの途中には数カ所の一時退避スペースが設置されている。

 スカイツリーは入口が4階、出口は5階にある。1階は修学旅行生などの団体向け入り口となっており、団体バスの駐車場もある。2階から3階が東武鉄道(株)の子会社である東武タウンソラマチが運営する「東京ソラマチ」。東武百貨店のほか、レストラン、ファッション・雑貨のテナントが入居している。レストラン以外のテナントは、夜9時までの営業だが、ここを見て回るだけでも半日は楽しめる。地上から354メートルにある展望台は3層構造になっており、2,000人の収容が可能。そこから、さらにエレベータで昇ると展望回廊があり、ガラス張りとなっている。最大900人収容可能だ。

 エレベータで展望デッキへと上り、地上を見ると、東京ディズニーリゾートの対岸、葛西臨海公園に立つ観覧車、東京タワー、両国国技館、上野の山などが眼下に見渡せる。記者が上った時間はすでに夜になっていたが、ネオン輝く眠らぬ街東京だけに、はるか遠くまで一望できた。周りの観客も「すごいよな~あれ、東京ドームだろ」、「あっちは浅草だよね」などと歓声があがっていた。フロアの窓に面する一角にもイルミネーションの光る小さなクリスマスツリーが飾られ、いよいよカップルの気分を盛り上げる。

 スカイツリーから東京一円を見渡すと、小さなことにこだわるのではなく、広い視野で日本の在り方を考えられる思いにさせられる。写真を撮りまくる友人をよそに、滞在中、日本の中心地で何を掴むことができるのか思いをはせていた。

(つづく)
【八女 瞳】

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