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玄海過酷事故対策は万全ではない!!井野東大名誉教授、佐賀県議会で参考人陳述
脱原発・新エネルギー
2013年12月17日 15:27

 福島原発事故後、原子力安全・保安院(当時)の意見聴取会委員などを務めた井野博満・東大名誉教授(金属材料学)は12月13日、佐賀県議会原子力安全対策等特別委員会で参考人として意見陳述し、「現状での原発再稼働は暴挙であり、厳格な安全対策の実施が不可欠」と指摘した。

<安全規制の最上位にあった立地評価を適用せず>
genkai.jpg 井野氏は、新規制基準の問題点として、「従来の安全規制の最上位にあった立地審査指針(立地評価)が欠落している。玄海原発3号機・4号機の適合審査申請書にも記載がない」と批判。立地評価とは、これまでの安全審査では、周辺の住民に放射線被害を与えないための最重要事項であり、重大事故、仮想事故に対して敷地境界での被曝線量を求め、それが目安線量の値以下であるかどうかを評価するもの。
 井野氏は、新規制基準が立地評価をしない理由について、規制委員会の田中俊一委員長が「福島のような放出の状況を仮定すると立地条件に合わなくなってしまう」と述べたことを挙げて、重大事故の想定が厳しくなったため、「ルールが守れそうもないので、ルールをやめたというに等しいご都合主義」だとした。
 規制委員会が敷地境界での目安線量という考え方をやめた代わりにフィルタ・ベントにより福島事故の100分の1以下のセシウム放出量に抑えるので、敷地境界では0.01mSVに収まるとしている(田中委員長の国会答弁)のに対し、井野氏は「重大事故時の対策がうまくいったときの総放出量に(これまでの目安値を)置き換えたものだ」と指摘。「セシウム137の量のみしか評価していず、フィルタで除去できない希ガス(クリプトン85、キセノン133などの放射性物質を含む)全量が大気中に放出されれば、目安値を1桁~2桁上回る。重大事故時に周辺住民に放射線障害を与えないことを取りやめた」と、重大事故による被曝の危険性を警告した。

 井野氏は、規制委員会自身が「規制基準を守ってさえいれば安全を保証できるものではない」と述べている矛盾を紹介し、「規制基準の適合審査をパスしても安全を確認したことにならない」と強調。「政治家が安全を保証できるわけがない。だれが安全に責任を負うのか」と問いかけた。

<玄海3・4号機、過酷事故で炉心溶融を防げない>
 井野氏は、玄海原発3・4号機の適合審査について、配管の大破断と全交流電源喪失によって、冷却材喪失事故と緊急炉心冷却装置(ECCS)注入失敗・格納容器スプレイ注入失敗が同時に起こった場合、九州電力が「この状態で炉心に大量に水を注入できる設備はない」と認めており、炉心溶融を防ぐ手段はないと指摘。その事態では、九州電力のシナリオが、炉心にある核燃料の溶融は避けられないと作業員が10分間で判断して、炉心冷却をあきらめて、30分で大容量の発電機をつないで格納容器の冷却に作業を集中すると想定していることに対し、「10分で判断できるのか。つなぎ込みが30分でできるのか」と疑問視。「(溶融燃料が格納容器内へ落下した)その先には、水素爆発や水蒸気爆発の危険性があり、それらを防げるとは言えない。過酷事故対策は万全ではない」と述べた。

 井野氏は意見陳述後、NET-IBの取材に応じ、「新規制基準は安全を保証するものではないと理解してもらえたと思う。首長・議会の同意・容認決議の持つ意味が旧安全基準の時とは違ってくるはずです。そのことを正確に理解してほしい」と語った。

【山本 弘之】


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