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大さんのシニア・リポート~第16回 「孤食」から「共食」へ(前)
特別取材
2013年12月18日 15:24

 12月15日、私が主宰する「幸福亭」(高齢者の居場所)主催の講演会を、近くの公民館で開いた。講師は、足立己幸・女子栄養大学名誉教授。タイトルは、「65歳からの共食」。足立氏は食生態学・食教育学・国際栄養学の権威。著書も多く、『食塩―減塩から適塩へ』(毎日出版文化賞受賞)、『栄養の世界―探検図鑑 全四巻』(今和次郎賞受賞)、『3・1・2弁当箱ダイエット法』(以下、3・1・2弁当箱法)、『なぜひとりで食べるの』、『65歳からの食卓』(共著)など多数。60名を超す入場者で熱気溢れる講演会となった。

12月15日(日)に行なわれた講演会で話される足立己幸先生 足立先生は、農水省の審議委員、NPO法人「食生態学実践フォーラム」理事長として現場で食生活に関する調査を実践する現役でもある。
 とくに「3・1・2弁当箱法」は秀逸だ。1=主菜(肉や魚など)、2=副菜(主に野菜)、3=主食(米)を、600cc~700cc(年齢により、大きさに若干の変化あり)の弁当箱に数字の割合で入れる。
 足立先生は、平成23年度食育実践活動推進事業講演で「その量的なバランスは容積比(上から見ると面積比)"主食(ごはん)3・主菜1・副菜2"の割合にするといい。このルールを守ると、弁当箱と同じ数値のキロカロリー(600ccなら600キロカロリー)で、主な栄養素のバランスが良いこと、ご飯が中心なので食料自給率も60%以上になることが明らかになっている」と述べている。
 特長は、はじめに弁当箱(入れ物)の大きさが決められていることだ。エネルギーや栄養素をポイント化して表示するというこれまでの方法とは違い、肉、魚、野菜類の名前と量を具体的に示すことで、誰の目にも理解し得るという画期的な方法である。
 「高齢者は運動量が少ないから、食事の量そのものを減らすということは間違っています。必要量は常に確保しておかなくてはなりません。それから、たんぱく質や脂肪など、不足分を別々に補うというのでは摂り過ぎです。問題は食事全体の量を勘案すること。そのために発案したのが『3・1・2弁当箱法』なのです」

講演会を知らせるポスター 足立先生は「3・1・2弁当箱法」を入浴中に思いついたという。「バスタブ(弁当箱)の大きさは常に同じ。自分を主食、お湯の量を主菜・副菜と考えているうちに思いついたんです」と言う。入浴中の大発見といえば、「アルキメデスの原理」が有名だ。「3・1・2弁当箱法」はソレ以来の大発見(?)かもしれない。

 それにしても「高齢者の2割が栄養不足」であるという足立先生の報告には驚かされた。
 そういえば、数年前に聞いた厚労省のお役人の話を思い出した。独り住まいの母親(当時90歳近い)の顔を見に出かけたとき、「あなたは太りすぎ。年齢に応じて食事の量を減らすこと」と苦言を呈した。ところが数日後、その母親が倒れ入院。主治医に「栄養失調です」といわれ厚労省のお役人氏は愕然。上司に「その世界の専門家である君が、自分の母親を栄養失調のまま放置していたとは遺憾」と叱責されたという。灯台下暗しである。

 実際、私の周囲にも、「歳相応に食べなさい」と忠告してくれる高齢者が多い。妻も、「あなたは歳の割に過食」と憎まれ口。半年後に70歳になる私は、三度の食事をキチンと摂る。量も少なくない。その代わり運動(主にウオーキング)をほぼ毎日欠かさない。それなりに健康(血圧、中性脂肪値、γGTPともに高め。原因は酒)だと自覚している。忠告してくれた一人が昨春亡くなられた。わたしは密かに栄養不足だったのではないかと疑問視している。

(つづく)

≪ (15・後) | (16・後) ≫

<プロフィール>
ooyamasi_p.jpg大山眞人(おおやま まひと)
1944年山形市生まれ。早大卒。出版社勤務ののち、ノンフィクション作家。主な著作に、『S病院老人病棟の仲間たち』『取締役宝くじ部長』(文藝春秋)『老いてこそ二人で生きたい』『夢のある「終の棲家」を作りたい』(大和書房)『退学者ゼロ高校 須郷昌徳の「これが教育たい!」』(河出書房新社)『克って勝つー田村亮子を育てた男』(自由現代社)『取締役総務部長 奈良坂龍平』(讀賣新聞社)『悪徳商法』(文春新書)『団地が死んでいく』(平凡社新書)『騙されたがる人たち』(近著・講談社)など。


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