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「NISA」(ニーサ)に潜むリスクを検証する(1)
経済
2014年1月14日 10:40

 最近、日本証券業協会は女優剛力彩芽さんを使って「ニーサ1万円でも始められるのですか。やったー!私投資家デビュー!」と大喜びしているCMや、また各証券会社がテレビのCMで盛んに「NISA」(ニーサ)がとても素晴らしいもののように宣伝しているが、いったいそんなに良いものなのだろうか。このNISAは、今年1月から始まった「少額投資非課税制度」のことだが、投資である以上はメリットばかりでなくデメリットやリスクもあるはずだ。
 2013年10月1日より日本版少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)の口座開設の受付が、安倍政権の掲げる成長戦略を後押しするように始まったが、何故このタイミングでNISAが誕生したのかと疑問を持たれる読者もおられるかもしれないので、その経緯について触れておきたい。

 okane.jpgNISAが誕生した大きな理由は、銀行業界と証券業界とが長年にわたって争っていた優遇税制に起因している。
 銀行業界は、預金利息が20%(15%の源泉所得税+5%の都県民税)課税なのに、証券業界だけに優遇制度(10%の軽減税率が適用され、株式投信や上場株式の売買益や分配・配当金などに対する課税が10%)が据え置かれているのは不公平税制であり、本来の20%に戻すべきだと主張していた。
 しかし銀行業界と証券業界との政治力を比較すると断然証券業界の影響力の方が強く、優遇税制はそのまま継続されていたが、12月末で優遇税制が期限切れを迎えるタイミングで、優遇税制を廃止する見返りとしてNISA創設を銀行業界に認めさせたというのが真相だ。つまり投資をしやすくするための制度とは言うものの、裏を返せば政治家が銀行業界を説得し証券業界との妥協を図った産物として「NISA」が誕生したということだ。
 ただ今後問題となるのは今年1月6日よりスタートした「NISA」口座の管理である。かつて民間銀行では、すべての個人に元本300万円を限度としてその利息については非課税とする「少額貯蓄非課税制度」(マル優)が認められていたが、1987年に廃止された。また郵便局も350万円の非課税枠があったが、民営化にともない2007年に廃止された。

 マル優が高度経済成長期における国民の貯蓄率向上に一定の役割を果たした役割は大きかったが、当時銀行はオンライン化されておらず、300万円の枠内であればどこの金融機関でもダブって預け入れ可能であった。極端な例では同じ銀行の本支店でもマル優枠が開設できるなどの悪用が目立ち、その結果利息に対してはほとんど非課税に等しい杜撰な管理が行なわれていた。
 しかし1980年代に入ると銀行のオンライン化が進み名寄せが容易になると、国税庁は毎年のように銀行などの各金融機関に調査に入り、不正に預け入れられたマル優の支払利息に対する課税分を預金者に代わり徴収。それが銀行にとって大きな負担となっていた。大手行では年間数十億円、地方銀行クラスでは数億円を徴収される状況であったため、マル優制度が1997年に廃止されてほっとしたのは銀行であった。
 銀行業界に大きな負担となったマル優制度は廃止となったが、その証券版とも言えるNISA(少額投資非課税制度)が新年の門出を祝うかのようにスタートした。

(つづく)
【北山 譲】

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