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輝く九州の女性たち

車4台分の花束を贈られた女性が残した伝統(前)~リョーユウ工業(株)藤井公子元代表取締役専務
輝く九州の女性たち
2014年1月14日 15:58

 「一企業を40年以上に渡って勤めあげ、退職時には車4台分の花束を贈られてその日を迎えた女性がいる」――そう聞いて、ぜひ会ってみたいと思った。リョーユウ工業(株)元代表取締役専務の藤井公子氏のことだ。女性が長年勤めるためには結婚、出産、子育てと、人生のライフイベントとの兼ね合い抜きには語れない。企業の顔と言われるほどの存在感を他者に与えていたのであれば、なおのことだ。ともすれば仕事の障壁にもなりかねない処々の事情を乗り越えて、輝きながら人生を送るためには何が必要なのか、その秘訣を藤井氏に訊ねてみたいと思った。

<仲間として子育てに協力してくれた社長>
 ――リョーユウ工業には1972年の創業時からお勤めされていたそうですね。入社のきっかけは何だったのですか。

リョーユウ工業(株) 藤井公子氏(以下、藤井) リョーユウ工業の現社長、諸石裕社長の祖父にあたる方が起こした会社に6年勤めた後、リョーユウ工業の創業メンバーとなりました。それから引き続き今まで42年勤めていましたから、合わせると48年になりますね。きっかけは、友人の紹介でした。入社する1カ月前のことです。そのときは、こんなに長く勤めることになるとは思ってもいませんでしたよ。

 ――女性が長年働いていくには、ライフイベントとのバランスが大切だと思います。結婚、出産、子育てなどの節目を、どのように乗り越えられてこられたのでしょうか。

 藤井 入社して8年目に妊娠、出産をしましたが、私としては子どもがいるからといって仕事を疎かにしたり、抜け出したくはないと思っていました。しかし、最初にお世話になった社長が非常に"人物"だったのです。保育園の送り迎えなど、育児に会社ぐるみで協力していただきました。当時は保育園も今ほど厳しくなく、代理の者が迎えに行っても子どもを引き渡してくれましたから、私が行けないときは、代わりに迎えに行ってくださったりもしていただきました。あの、先々代の社長の心配りがあったからこそ、子育てもできたのですよ。その恩を返したくて、私も後輩たちには私にできることをして励ましてあげたいと思うようになりましたし、そうしてきたつもりです。

 ――最近は、マタニティ・ハラスメントという言葉もあるほど、育児と仕事の両立で悩む女性がいると言われています。

元代表取締役専務 藤井 公子 さん 藤井 妊娠、出産、子育てと大変なことが多いのはたしかですが、周囲を慮りながらも頑張る、という気持ちを保つことです。最低限の気は使わないといけませんね。大いばりで権利を主張されては困ります。頑張る姿を見て、人は支えてあげたいと思うのです。人の善意に甘えているようだと会社も雇えないでしょう。私も周囲の人々に「大変だろうけれど、何とかして乗り越えて。私も乗り越えたからこそ、今の私があるのよ」という気持ちを伝えるようにしてきました。ただ、うちの女性社員にはあまり対象者がいませんでしたから、男性に対してすることが多かったですね。

<会って話すことから生まれる人の縁>
 ――常に気配りをされていらっしゃったのですね。こうやってお話をしている間にも、お茶やお菓子の準備を手際よく整えていらっしゃいます。

 藤井 何かできることがあると、すぐ手を動かしてしまうのですよ。人と会うのも好きでしたから、そちらも欠かすことはできませんし、お友達とお喋りをしながら、佃煮などのちょっとしたお惣菜を作ることなどしょっちゅうでした。

 ――もともと細かな時間を活用して物事を両立するのがお上手なのですね。入社したときの職種は何だったのですか。

 藤井 職種は一般事務でした。設立メンバーですから、何でも自分たちで開拓できました。意見を求められて発言し、自分のアイディアを用いてもらって、みんなで会社を良くしようとするのは当たり前でした。今のように、企画会議やミーティングとして改めて時間を割く必要もありませんでした。当時、社員は全体で10人いないぐらい。女性は私だけでした。その後、徐々に女性が入り、男女共々人数が増えましたが、皆で会社を育てていったことには変わりはありません。

 ――藤井さんは、営業能力が高いことで評判だったとお聞きしています。人脈の豊かさが花束の数にも表れています。

 藤井 お花の件は、本当にありがたいですね。意外だったのは、昔辞めた社員からも花束が届いたことですよ。でも、私がこれだけ人と知り合えて、覚えていただけたのは、今と違ってFAXもメールもない時代から勤めていたからだと思いますよ。何かあると電話で連絡して、会って話をしたものです。今は何でもメールで済みますからね。打ち合わせもそんなに必要がないようです。今と昔で、人との接し方が随分と変わったと思うのは、この点です。おそらく今後業界で、顔を覚えていただくようなつながりを深めるのは難しいのではないでしょうか。

 ――人脈は重要なことだと言われていますが、それを培う仕組みつくりは、意識して模索しないといけないのでしょうね。

(つづく)
【黒岩 理恵子】

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▼関連リンク
・リョーユウ工業(株)HP


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