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2020年東京五輪で金メダル世界第3位を目指す日本!~「スポーツ・インテリジェンス」和久貴洋著(NHK出版新書)
書評・レビュー
2014年1月15日 10:55

<成功にはメダルと選手の活躍が必要だ>
 12日、大会組織委員会会長に森喜朗元首相が決まり、2020年東京五輪開催に向けた準備が本格化することになった。昨年末、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は「東京五輪を大成功に導くには、メダルと選手の活躍が欠かせない」と言い、各競技団体に20年に向けた強化計画と予算の提出を求めた。
 JOCでは、金メダル数で、2016年リオデジャネイロ五輪は世界第5位(13個から16個)、2020年東京五輪では世界第3位(20個~33個)を目標に掲げている。ちなみに、1964年の東京オリンピックでは、16個で世界第3位であった。

<知られていない国際スポーツ界の裏側>
 和久貴洋氏は、日本のメダル獲得サポート部隊の総本山とも言える独立行政法人日本スポーツ振興センターの情報・国際部課長である。同センター立ち上げから参画、2001年より、国際競技力向上の為の情報戦略、マルチサポート事業を担当している。

 本書は、進化するトップスポーツの世界(第1章)~スポーツ・インテリジェンスとは何か~オリンピックの舞台裏で何が行われているのか~戦う選手団「チームジャパン」を作る~マルチサポート・ハウスをめぐる決断~スポーツ・インテリジェンスに終わりはない(終章)で構成されている。

 スポーツ・インテリジェンスとは、オリンピックなどの国際競技で勝ち抜く為の「情報戦略」である。相手選手やチーム、試合環境、使用器具等を徹底的に調べ上げ、国家を動かし中・長期スポーツ戦略を策定する。文部科学省では、メダルをより多く獲得するために、射撃やセーリングなど種目数は多いが、競技人口の少ない競技を集中強化するなどの方針を打ち出している。このように、チャンスある競技に重点的に資源を投入する考え方は世界標準となっている。
 オリンピックでの勝敗を決めるのは、今や国家ぐるみの総力戦で、もはや個人の力だけでは戦えない。本書には、今まであまり知られていなかった国際スポーツ界の裏側が書かれている。

<本番に近い環境でトレーニングを行なう>
 北京オリンピックで、オーストラリアは自転車ロードレースのシミュレーションシステムを開発した。練習場はヒーターによって開催時期の北京と同じ気温・湿度が保たれ、ペダルはモニターと連動、モニターの映像は北京オリンピックの実際のコースと同じになっていた。韓国ナショナルトレーニングセンター内のアーチェリー・トレーニング場では、北京オリンピックのアーチェリー会場で吹いている風の傾向を測定・分析、それに近い風を工業用の扇風機で送り込み、客席には垂れ幕を用意、観客の歓声を録音した環境音を流した。各国とも、本番にできるだけ近い環境を整えて、日々トレーニングをしている。

 近年、各国で注目しているのが「リカバリー」(疲労回復)対策である。その為に、アイバス(氷を入れた水風呂)、交代浴(温かい風呂と冷たい風呂に交互に入る)や効果的な睡眠のとり方などの研究を進めている。日本でもこの対策の一環として、2012年のロンドンオリンピックから「マルチサポート・ハウス」(リカバリー設備などを備えた村外拠点)を設けている。

<アスリートを発掘するプログラムの実施>
 日本の場合、人口減少からアスリートプールが枯渇する危機的状況が続いている。そこで、日本スポーツ振興センターと連携する地域タレント発掘事業は全国12の地域(福岡、和歌山、岩手、山形、山口、京都、長野、北海道・上川北部地区、埼玉、秋田、東京、北海道・美深町)で展開されている。
 福岡県タレント発掘事業では、2004年~2011年の間にアスリートが2,000人誕生。2012年度の応募総数は3万人を超え、地域から子供たちを世界の舞台へ送り出すことが可能であることを証明している。 

 全体を通して、人材発掘から用具開発、リカバリー対策を含めた最終調整サポートなど実に深く細かい。オリンピックがこのように「勝利至上主義」や「商業主義」になっていくことに、創立者のクーベルタン男爵は、おそらく嘆き悲しんでいることと思う。しかし、もはや各国ともこの舞台から降りることはできない。

【三好 老師】

<プロフィール>
三好 老師(みよしろうし)
 ジャーナリスト、コラムニスト。専門は、社会人教育、学校教育問題。日中文化にも造詣が深く、在日中国人のキャリア事情に精通。日中の新聞、雑誌に執筆、講演、座談会などマルチに活動中。


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2013年10月 8日 15:34
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