今後、老朽化が進んだ水道管を随時取り換えていかなければ、老朽化が原因の漏水を招きかねない。また、福岡県西方沖地震のような突発的な地震が発生する可能性を考慮すると、耐震用のものへの交換の必要もあるだろう。そうなると、管の掘り起こしが行なわれることで残土が発生し、埋戻砂がより品質の高い再生砂として利用されていくだろう。
市場規模が爆発的に大きくならないにしても、これからの採石市場を考えた場合、従来使用されていた川砂の採取量が激減してきていることは事実。今後、山砂の供給量を再生可能資源で補うことが望まれている。資源のリサイクルとして、再生できるものは再生していかないと、資源の枯渇になりかねない。まさに資源は足元にあるのだ。
<人災の可能性を孕む不正疑惑、問われる市の監理体制>
さて、話を元に戻そう。不正疑惑が深まるなかで、埋戻砂の監理を手がける福岡市財政局技術監理部技術監理課の担当者に話を聞くと、「(埋戻砂をめぐる)不正などはあり得ないと思います。なぜなら、証明書の発行などで監理しており、不正の余地はないと思いますから」とのことだった。記者の「もし証明書が偽造されていた場合は?」との問いには、「そこまで確認はできません」と言い、あくまでこの監理体制による不正はあり得ないとの市側の見解だった。
市は、公共工事のインフラ整備においても高い品質を求めている。埋戻砂の品質基準をかなり高いレベルに設定しているのもそのためだろう。ある土木業者は、「管の埋設には埋戻砂を使用しています。つまらないことで自分たちの品質は落としたくありませんので、ルールはきちんと守っています」と、品質の高い砂を使用することで、自らのクオリティを保っていると話す。
とはいえ、自家製の埋戻砂を使用して公共の道路などに埋設した場合、考えられるのは質の低下による道路の陥没や管の湾曲による漏水などがある。均等な品質を持つ埋戻砂を使用しないがために災害が起こるとしたら、まさに手抜き工事における人災となりかねない。ある管工事業者は、「市は知っているのかもしれません。ですが、発覚すると莫大な費用がかかり、交通にも支障を来たすうえに、責任問題にもなりかねませんから」と話す。
福岡市内で名を連ねている管工事業者は、高い品質の元にインフラの工事を行なっていると聞く。だが、自身のみの利益のために不正を続け、その後、破滅へと至ったような事件は、全国のニュースでもこれまで何度も目にしてきた。やはり、ルールを破るような業者らを野放しにすることが、最も危険なのではないだろうか。
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