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山崎拓氏の直論~平和と繁栄(1)
政治
2014年3月 6日 12:34
自由民主党元副総裁 山崎 拓 氏

 アジアのゲートウェイとして成長する福岡。奔流のように発展するASEAN(東南アジア諸国連合)の経済成長とアベノミクスの相乗効果が期待される一方、日中、日韓の政治関係の悪化が経済、友好にも影を落とす。オバマ大統領の4月アジア歴訪を前に、日本は、関係悪化した日韓関係の修復という課題が米側から突きつけられている。自民党の副総裁、幹事長、政調会長を歴任した自民党の重鎮政治家、山崎拓氏に、日本のアジア外交、経済政策について独占インタビューした。山崎氏は、官房副長官として中曽根康弘首相の外交に同行して以来、日米安保・外交の第一人者。中国の要人に人脈を持つ日中関係のキーマンでもある。憲法改正論者で知られ、YKKの一人として、小泉純一郎元首相、加藤紘一元幹事長とともに、自民党改革をリードした。衆院議員引退後も、政策集団「近未来政治研究会」最高顧問として、在野から旺盛な言論活動を続けている。

<日中関係の冷え込みで、アベノミクスも危機に>
 ――経営者にとって、自社の経営リストだけではなく、政治リスク、外交リスクも念頭におかなければいけない時代にさしかかっています。2年目に入った安倍政権。アベノミクスの第3の矢も正念場ですし、日中・日韓関係に象徴される安保外交政策に危うさを抱え、2014年の政治、経済、外交の課題と展望をお聞きしたい。

 山崎拓氏(以下、山崎) 私は、今年の正月、中国の要人からいただいた年賀状に対する返事の文面に、「祈 日中友好回復 日中平和共存 日中互恵発展」と書きました。友好回復というのは、日中国交正常化の時に子々孫々友好関係を確立するとしたのに、今や友好関係が希薄になっています。それから、平和共存というのは、日中国交回復5原則の1つであり、尖閣諸島をめぐる軍事衝突は絶対に避けないとならない。戦略的互恵関係というのは、第一次安倍政権で使った言葉だから、それを発展させよう。私は、この3つの理念のもとに日中関係を修復していかななければならないと考えています。

 日中の経済関係を冷え込ませて、対中貿易が減っていくということは、アベノミクスからすると、大変危険なことだ。まして、軍事衝突なんかあったら、株が暴落するからアベノミクスは吹っ飛ぶ。そこのところをよく計算に入れて、日中関係の改善に努めないといけない。

自由民主党元副総裁 山崎 拓 氏 尖閣の問題での対立の解決を図らなければならないときに、日中首脳間の話し合いが行われない状況になっている。安倍総理が、そういう時期に、中国側が容認できないという靖国神社参拝をやるものだから、ますます日中関係が冷え切ってくる。米国は、どうみてもボールは日本側にあるから、日本がボールを投げなくてはいかんと見ています。ところが、投げるボールの中身が日本側にない。在任中は靖国に行かないと言えば、それは1つのボールですよ、しかし、安倍総理は絶対に言わないという。

 安倍総理は「胸襟を開いていつでも話し合う」と言うが、向こうは何を話し合うんだと言うわけです。ぶっつけ本番で話し合いをして、そこで決定的に対立したら、外交関係が決裂しかねない。国と国との外交は、首脳外交に尽きるから、首脳外交で何を話し合うか、どういう結論を導くか事前の準備が必要だ。今は、その準備がない状況で、今のところ打開の方策というのがない。

 小泉純一郎首相(当時)は靖国神社に6回参拝したが、その間、日中首脳会談は10回以上行なわれた。その後、安倍総理(第一次安倍内閣)になって、谷内正太郎外務事務次官(当時)が戦略的互恵関係という合意を築き、靖国参拝をやるかやらないかあいまいにして、日中首脳会談もできた。それなのに、安倍総理は靖国神社には参拝できなかったと悔いた。第二次安倍内閣になって、前回の轍を踏みたくないということで、就任後1年目のギリギリ最後の日に参拝に行った。そのため、民主党の野田政権下に行なった尖閣諸島国有化によって深刻な対立を生じていた日中関係はますます冷え切った。

 国会答弁を聞いても、安倍総理は第二次大戦で侵略行為がなかったとは言わないが、「侵略行為がなかった、植民地支配がなかったとは言ったことはありません」と言うのだが、否定しないだけで、侵略行為と植民地支配があったと肯定したことはない。それがますます中国としては引っかかるわけです。私が国会の質疑をずっと観察していても、安倍総理の本心はそこにあるなと思う。なかったと言ったことはないと言うけど、あったとは言わない。それでは、ソクラテスの言う詭弁になってしまうのです。

(つづく)
【取材・文:山本 弘之】

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<プロフィール>
山崎 拓 氏山崎 拓 氏(やまさき たく)
自由民主党元副総裁、元幹事長、元政調会長、元建設大臣、元防衛庁長官など歴任。1936年生まれ。福岡県立修猷館高校卒業。早稲田大学商学部卒業後サラリーマン生活などを経て、67年に福岡県議会議員に当選。72年の総選挙で衆議院議員初当選以後、12回当選。著書に『2010年日本実現』『憲法改正』など。現在、政策集団「近未来政治研究会」最高顧問。


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