ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

クローズアップ

ラオス発展貢献の知られざる日本人
クローズアップ
2014年3月24日 12:21
赤坂綜合グループ Ogisaka Sole Co.,Ltd 代表取締役 飯田 国大

 ラオスの首都・ビエンチャンには、ラオス発展の大きな力となった「ナムグムダムプロジェクト」で命を失った日本人たちのお墓がある。彼らは、アジアの発展に寄与して活躍する道半ばで、命を落とした日本人たちである。埋葬されてから40年が経過しているが、今の日本人にはまったく知られておらず、ラオスのお寺でひっそりと供養されている。

 ナムグムダムは日本人が開発した、ラオスで最初の水力発電ダムである。開発には、日本工営、三井物産、間組、日立製作所、酒井鉄工など多くの日本企業が関わっている。貯水池総面積は370km2と、福岡市とほぼ同じ面積の巨大なダムである。
 現在、ラオスの電力は100%自然エネルギーの水力発電によるものである。水力発電は、産業が未発達だったラオスにとっては、1970年代より輸出額の20~60%を占める重要な外貨獲得手段であった。発電した電気は隣国タイへ売電を行ない、30年間で4.6億ドル(ナムグムダムのみ)の収入をラオスにもたらした。
 ナムグムダムを所有するラオス電力公社(EDL-Gen)の2011年12月期の売上高は1兆1,820億Kip(日本円で149.9億円)で、経常利益は8,649億Kip(同109.8億円)となっている。

ビエンチャン郊外にあるナムグム第一ダム水力発電はラオスの経済に貢献している

 ラオスの水力発電は1956年、熊本県阿蘇出身の久保田豊氏(当時66歳)がラオスのスファヌボン殿下(後の現政府の国家主席)に提案したことが始まりだった。セタパレスホテルでの会合の席で、スファヌボン殿下から「ビエンチャンの電力が不足して困っている。良い知恵があったらお借りしたい」と問われた久保田氏は、「ラオスには山もあり水も豊富で、水力発電ができます。水力発電をお考えになってはいかがでしょうか?」と助言した。これが、ラオスの経済発展において重要な意味を持つ提案となった

 久保田氏はすぐにラオスの水力発電の候補地調査を自ら行ない、空からはDC3型飛行機を借り上げ、陸上は自らの足でジャングルのなかに入り、日本人技術者たちと水力発電のFS調査を行なった。ビエンチャンのメコン図書館には、当時の久保田氏のナムグムダムのFSレポート等の原本が今でも保管されてある。
 FS調査によって開発は決まったが、ラオス政府はダムの開発資金2,440万ドルの資金手当てができなかった。そこで久保田氏はニューヨークの世界銀行に、交渉しに行った。だが、世界銀行はラオスには電力需要がないということで、断った。そこで久保田氏は、世界銀行の帰りにタイへ向かい、タイへラオスからの水力発電の電力の30年間の売電契約をとりつけた。さらに、その後の世界銀行等、各国の協調融資に結んでいった。
 なお当時、ラオスは革命のため内戦が勃発していたが、このプロジェクトはラオスの国の発展に寄与するプロジェクトだったため、内戦状態のなかでもダム周辺は非武装地帯となった。

ダム工事期間中に命を落とした日本人の墓が建っている 1960年12月、ダム候補地からキャンプに戻る途中でボートが転覆し、日本人技師が数名亡くなった。その後、ナムグムダムは1971年12月2日に竣工。その日はラオスの臨時祭日になった。翌日、久保田氏はこの工事で亡くなった日本人たちの墓前で工事の完成を報告し、黙とうした。彼らの功労を讃えた数少ない日本人だった。ナムグムダム完成時、久保田氏は81歳になっていた。
 ナムグムダムのタイへの電力輸出は、ラオスの総輸出額の60%に近い割合を占めていた。1年間の売電収入が年間2,400~2,700万ドル(1年間の収入がダムの工事費に匹敵する収入)で、その後40年以上にわたって現在でも、水力発電の売電による輸出はラオスの豊かさの源泉となっている。だが、今のほとんどの日本人は、アジアの発展に命を懸けてプロジェクトを進めた、この過去の事実を知らない。

 現在、ラオスでは完成に至ったり調査が行なわれている水力発電プロジェクトが98もあるが、日本による水力発電はこの後、何十年間も完成までには至っていない。

 ラオスは自然エネルギーの水力発電で、今後8年間で2万6,000MW、実に原発26基分の電力を自然エネルギーから調達しようとしている。経済発展の著しいASEAN地域のバッテリーとなる。この大規模なプロジェクトを進めるには日本の協力が重要であり、周辺の経済発展が著しい東南アジアの電力供給を、日本人が最初に提案した自然エネルギー水力発電が担う必要がある。

 2014年1月に、関西電力がラオスで290MWの巨大な水力発電ダムの開発に着工をスタートさせた。完成は2019年1月に運転開始予定である。
 現在、赤坂綜合事務所は日本企業として初めて、ラオス電力公社(EDL-Gen)よりダム開発資金等の協力のためのMOUを結び、ラオスと日本の懸け橋となるよう日々事業活動を行なっている。

▼関連リンク
・赤坂綜合グループ Ogisaka Sole Co.,Ltd


※記事へのご意見はこちら

クローズアップ一覧
クローズアップ
2014年3月24日 15:00
クローズアップ
2014年3月24日 14:27
クローズアップ
2014年3月24日 13:34
クローズアップ
2014年3月24日 12:21
クローズアップ
2014年3月19日 14:29
クローズアップ
2014年3月18日 18:24
クローズアップ
2014年3月18日 10:34
クローズアップ
2014年3月18日 07:38
クローズアップ
2014年3月17日 10:30
クローズアップ
2014年3月17日 08:30
社会
2014年3月17日 07:00
クローズアップ
2014年3月14日 16:24
クローズアップ
2014年3月14日 14:24
クローズアップ
2014年3月14日 11:37
社会
2014年3月14日 07:00
クローズアップ
2014年3月13日 11:29
社会
2014年3月13日 10:43
クローズアップ
2014年3月13日 10:16
クローズアップ
2014年3月12日 07:00
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
流通メルマガ
純広告VT
純広告VT
純広告VT
ピックアップ
国際貢献専門大学校、初めての入学式
クローズアップ
2014年3月24日 14:27
【4/6】免疫学の安保徹氏、講演
健康・医療
2014年3月24日 07:00
ピエトロのお得なパスタセット販売中
耳より情報
2014年3月20日 15:27
大野城市筒井に共同住宅
建設
2014年3月20日 13:49

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル