NHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」が今年1月5日(日)にスタートしたが、ナレーションを務めていた女優の藤村志保さん(75)が第6回(2月9日放送)をもって降板し、第7回(2月16日放送)からは元NHKのアナウンサーで、同局の数多くの番組でナレーションを務めてきた広瀬修子アナ(69)に交代した。
藤村志保さんのナレーションを巡っては、初回放送の直後から視聴者より「聞き取りづらい」「滑舌が悪い」などという声が相次いだと言われる。チ-フプロデューサーの中村高志氏は「母なる大地の播磨に戦乱が続く世を嘆き、乱世を終わらせようとする官兵衛を見守っている、というイメージで藤村さんにナレーションをお願いしたが、背骨を圧迫骨折したことで交代したものです」と、擁護するコメントを伝えている。
藤村さんの交代を尻目に、今年1月24日に退任した松本正之会長の後を受けて、籾井勝人氏(71歳)がNHK会長に就任したが、記者会見の席上で「従軍慰安婦はどこの国にもあった」「オランダにも飾り窓がある」などに始まる一連の失言が物議を呼んだ。更に会長就任時に全理事に対して辞表を提出させるなど、報道機関のトップとしての適格性を疑われる言動が次々と明らかになった。 藤村さんと同様に交代を求める声が野党や一部マスコミから上がったが、政府も安倍政権寄りの籾井氏を擁護。平成26年度のNHKの予算案は3月27日衆議院本会議に上程され、圧倒的多数を占める与党自民党・公明党とみんなの党(渡辺代表)の賛成多数で可決承認された。
その直後の3月31日より朝の連続テレビ小説「花子とアン」がスタートした。第1回目放送は東京大空襲での花子、そして時を遡り幼少期の山梨・甲府での安東一家の生活が描かれており、素晴らしいスタートを切ったように思えた。ネット上でも概ね好評で今後の展開に期待する声が多かった反面、ナレーションを担当した美輪明宏さんによる語りに批判の声が上がっている。
昨年末の「紅白歌合戦」で美輪明宏さんに長い時間歌わせたのは、このナレーターへの登用が伏線にあったのではないかと見られている。
ただ問題は「朝ドラ」という一日の始まりに美輪明宏さんの「おどろおどろしい」声が登場することに対して、一部視聴者の拒否反応があることだ。美輪さんは「昭和の戦前、戦中、戦後を生きて参りましたので、あの時代の臨場感がいささかなりとも表現できれば」と、このナレーション役への意気込みを語っているが、好評を博した「あまちゃん」や「ごちそうさん」に肩を並べるには、厳しい状況におかれている。「軍師官兵衛」のナレーター交代をきっかけにNHKは変調をきたしているとの見方があり、NHK本体こそが「軍師官兵衛」を迎えないと戦乱の世に生き残れなくなるのではとの危惧が生まれている。
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