NPO法人もやいバンク福岡（福岡市中央区、中村肇理事長）は、６月１日、福岡市内で設立５周年記念イベント「ここで暮らしたい～もやいあう地域のつくり方」を開催する。
　５周年を機に、実際にNPOや社会企業家に低金利で貸し出して育ててきた履歴をたどり、今後、より良い社会の実現に向けて必要なものについて、具体的な体験談を交えて情報発信する。

　同団体は2009年に、地域の福祉や環境、市民活動に取り組む個人や団体に無担保、低金利で融資するNPOの金融機関として設立した。中村肇理事長は、「この５年間で融資を希望する方や団体が増えました」という。それは、もやいバンクの試みが、多くの人々の賛同を得ている証でもある。
　市民が自分たちの手で経済市場を生み出し、自分たちの力で生活を築き上げていける社会づくりは、今後ますます必要となる。今後の課題は、出資者よりも伸び率が高くなっている支援希望者に応えるために、いかに出資者の数を募るかという点にある。

　今回は、基調講演の後、女優の杉田かおるさんを招き、環境問題をはじめとするさまざまなNGO活動に関わり、多くの団体の理事や代表を務める田中優さんとの対談トークを行なう。
　杉田さんは、女優業の傍ら、糸島市で農園を経営していた、九州での自然農の祖、故・松尾靖子さんから自然農を学び、「杉田かおるとオーガニックライフ」の著書も出版している。オーガニックライフに造詣が深い２人のトークショーは必見である。
　そのほか、福岡での活動団体によるパネルディスカッションや、エネルギー、食べ物、仕事の自給を目指す「糸島シェアハウス」のブースなど、実績を上げてきた起業家や団体の姿を具体的に紹介する。「多くの皆さんにイベントに参加していただき、理解と支援を募りたいと考えています」と中村理事長は言葉に力を込める。

　福岡は、商業都市としての機能と恵まれた自然環境を併せ持つコンパクトシティとして、他地域からも注目されている。原発の影響から逃れて、多くの人々が移住してきた地でもある。人々が豊かに暮らすためには、自分たち自身で経済活動を行なっていける社会づくりが必須である。その先見の目を持ち活動を続けてきたもやいバンクの報告は、今後の社会づくりを考えるにあたって、見逃せない。

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