＜満足できない家はつくらない＞
　施工するすべての住宅で外断熱工法を採用する健康住宅（株）。「外断熱工法」という呼び名すら知られていなかった頃から他社に先駆けて取り組み、「福岡で外断熱工法といえば健康住宅」と言われるほど同社の知名度は高い。本社内に設けられた住宅資料館では、高気密・高断熱住宅の仕組みと性能を体験することができるほか、実物大の構造模型を設置し、外断熱の仕組みが見てわかるような工夫がされている。

　他社との差別化と言えばチープに聞こえるが、徹底することで「コスト面では外断熱工法の方が一般的な工法である内断熱より高いのが事実。しかし、得られる快適さからコスト以上の満足度は十分にある」と、営業マンが迷いなく外断熱の家を勧めることができることとなり、販売力の底上げにも成功しているのだ。徹底した経営戦略によるブランディングが功を奏し、2014年７月期には引き渡し実績が1,000棟を超えた。その業績には目を見張るものがある。

　消費増税による駆け込み需要を背景とした住宅需要の高まりから、同社の受注棟数も対前年比で大幅に伸びた。しかし、「家の品質」にこだわりを見せる同社では、引き渡し棟数を制限している。品質の高い施工ができる協力業者の確保には限界があるため、同社が自ら「年間90棟前後」という社内ルールをつくり確実に実行している。「無理な着工はしない。満足できない家はつくらない」（畑中直社長）と言い、家づくりへのこだわりは徹底している。

＜「間違っていなかった」ドイツ研修で確信＞
　畑中直社長は勉強熱心なことでも知られる。13年もドイツ商工会議所が主催する視察ツアーに参加した。ミュンヘンなどのまちなかでは、断熱改修工事が至るところで行なわれ、建物の高性能化が進んでいることに驚嘆。そして、断熱性能を重視するドイツでも、外断熱が当たり前のように採用されていることに「1998年８月に決断した『外断熱に特化する』という考えは間違っていなかった」と改めて確信したという。

　長く「異端」と見られてきた外断熱工法だが、ようやく一般的な工法になりつつあり、一般ユーザーにも広く知られるようになってきた。福岡でも多くの工務店が外断熱工法を採り入れているが、築き上げてきたブランド力により、いまだ抜きん出た存在であることは間違いない。

＜同じ意志を持った集団へ＞
　同社の強みは施工力だけではない。むしろ、その販売力だ。かつての住宅会社と言えば、「売ってナンボ」で契約後のアフターサービスは後回しにされがちだった。同社では、家づくりを通じた顧客満足を追求。施主と一緒に良い家をつくるため、長い時間かけて信頼関係を構築している。その結果、紹介による契約も非常に多いようだ。

　施主に対する基本姿勢は、一言で言えば「感謝」だ。感謝の気持ちを持って、予想以上の感動、想像以上の心地良さから生まれる静かな感動を提供する。「感動できる人にしか人を感動させることはできない」のスローガンで、従業員１人ひとりの意識を向上させるための取り組みは枚挙にいとまがない。今でこそ、出版社から「地域でいちばん大切にしたい住宅会社」に選定されるなど、経営理念の浸透した企業として知られる同社だが、畑中社長も「創業時には経営理念なんて言葉も知らなかった」という。セミナーや勉強会で経営理念の定義について知ることとなり、同社もひとまず作成することとなるが、結果として従業員は内容を暗記するだけ。まったく浸透しなかった。

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＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：畑中　直
所在地：福岡市城南区別府5-25-21
設　立：1998年８月
資本金：2,000万円
ＴＥＬ：092-846-3000
ＵＲＬ：http://www.kenkoh-jutaku.co.jp

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