＜『努力と機動力』を理念に潜在ニーズを発掘＞

　1976年３月、28歳のときに越智多見男社長が１人で始めた（株）サンヨー建材工業。主に住宅用アルミサッシ、スチール・軽量製、ステンレス製建具およびガラス・鏡などの建築資材の販売施工を手がけてきた。創業当時は、高度経済成長期で人口が爆発的に増え住宅需要が高まったことで、木製のサッシから大量生産が可能かつ施工の容易なアルミ製のサッシへの転換が進んでいたころ。アルミサッシは、その施工の容易さから異業種による参入が増加。競合ひしめく建具工事業界で地道な営業活動を積み重ね、飯塚地区・福岡地区で知名度を拡大してきた。

　「とくに創業時は人の何倍も働いていた。その姿勢は今も変わっていない」と同業者が語るほど越智社長は仕事熱心で知られる。また、同氏の人脈には目を見張るものがある。マンションデベロッパーやゼネコン、介護施設運営会社の経営層への人脈形成が強みであるだけでなく、その施工力を買われて継続的に受注することに成功している。受注先は大手ゼネコンから地場ゼネコンまで幅広く、主軸のサッシ工事のほか、ガラス工事も手がけている。

　このように、同社の強みは施工力と越智社長の人脈だ。この２つは、同社の経営の両輪であり、その相関性は同社のアイデンティティでもある。
　自社施工であることを活かした高い施工力で受注先からの信頼は厚い。越智社長は、「特別なことはしていない。『努力と機動力』を理念に掲げ、顧客の求めるものを丁寧に聞き、それを徹底すること。それには、『勘－感性』も重要になってくる」と語る。

　顧客の潜在ニーズを引き出すため、コミュニケーションを密にして情報を収集。集めた情報に基づいて決断し実行する。時代の流れを読みながら、時代に合った経営を心がける。このように、当たり前のことを当たり前にできる経営力が同社の基盤となり、安定した受注を支える理由になっているのだ。

　『勘－感性』の重要性について、「私が会社を経営するのに最も大切にしているもの。感性を高めるには、常に顧客の声を聞き、その声を仕事に反映して進化させていくことであり、それを続けていくことが最も重要と考える。これが、理念である『努力と機動力』に集約されている」と語る。顧客ニーズを重視する同社のスタンスを表した言葉である。

（つづく）

｜　（後）　≫

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：越智　多見男
所在地：福岡県飯塚市秋松941
設　立：1977年10月
資本金：1,000万円
ＴＥＬ：0948-28-7727

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