法人市民税の改正にともなって、地方法人税という新たな国税が創設される。これは新たに国が地方からカネを集めようとするものであり、地方分権に逆行するかたちとなる。
法人市民税は、市内に事務所や事業所などを有する法人等に課税される税金。福岡市の法人税の額によって算出する法人税割額では、資本金1,000万円以上の法人であれば、法人税額の14.7%がそれに当たる。
福岡市では、今回の国税創設と、それにともなう法人市民税の引き下げで、法人市民税が14.7%から12.1%に引き下げられ、その差額の2.6%が地方法人税として国が賦課徴収する。この税収は全額が交付税特別会計に直接繰り入れられ、地方交付税の原資になるとしている。市の担当者によると、2012年の決算を元に算出して約48億円の減収となる見込み。来年度の地方交付税の配分額がいくらになるか、国に徴収された以上にもらえるのかそうでないか、年末の地方財政計画で定められるまで読めないという状況だ。
今回の国税創設には「地方法人課税の偏在是正」という名目が掲げられているが、要するに不足する地方交付税の原資を補おうするものであり、国の財政健全化がまったく進んでいないことを示している。地方の税収が全体として上がるのか下がるのか、現段階でわからないとしても、少なくとも中央政府にとって旨味のある話であることは間違いなく、いかに地方分権が軽視されているかが見え透いている。先月の福岡市議会では、川口浩市議(無所属)が、「地方分権の流れに反し、ましてや、全国の市長会などの機関との相談もなしに、国が頭ごなしに決めてかかるやり方は到底受け入れられるものではない」と反対の意を示した。
地方法人税の賦課徴収は、2014年10月1日以後に開始する事業年度から適用されることになっている。
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