中国重慶市の週刊紙「重慶青年報」が、広島と長崎にキノコ雲を描いた日本地図のイラストを掲載していた問題について、9日、長崎県議会でも抗議を求める声があがった。イラストは、「日本は再び戦争をしたがっている」として、安倍政権の集団的自衛権の行使容認を批判する記事の一部分。同紙は、中国共産党の青年組織・共産主義青年団系の新聞とされている。
長崎県議会 文教厚生委員会の委員・山田博司県議(改革21・五島)は、問題のイラストの写し(画像)を同委員会内で配布。「イラストを見た五島の被爆者は泣いていた」と被爆者が受けた精神的ダメージを説明。県によると、同様のケースは「前例がない」という。山田県議は、県および県議会からの抗議を行うべきと主張。県側は「極めて遺憾」とした上で、現地調査を行った後、対応を協議すると説明した。
一方、同委員会では「日中関係を考慮して慎重を期すべき」との意見があった。この問題については7日頃からさまざまなメディアで報道されており、日本政府レベルで同紙の編集責任者や中国政府に対する抗議を行っている。その事実をふまえてもやっと、「広島県議会の対応も確認して検討する」というレベルに留まった。
来年(2015年)は被爆70周年という節目の年。長崎県内の被爆者手帳保持者は約5万人。その約54%が80歳以上の高齢者となっている。記憶の風化が懸念されるなか、同問題に対する長崎の対応に注目が寄せられる。
【山下 康太】
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