2024年03月29日( 金 )

アビスパ 負けなかったことが成果

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kantoku 7月26日(日)、J2のアビスパ福岡はホームのレベルファイブスタジアムで、『バトルオブ九州』と銘打った注目の一戦となる「2015明治安田生命J2リーグ第26節 V・ファーレン長崎戦」を行った。結果は、前回の対戦(第20節・6月28日)と同様に、「0-0」の引き分けに終わった。

 当初、台風12号の九州地方北上にともなう影響で天候が不安定となり、来場者の安全優先のために、一時は試合の開催自体が危ぶまれたものの、予定通りの開催となった。ただし、そうした台風の影響もあってか、来場者数は5,757人(Jリーグ発表記録より)と、やや寂しい数となった。

 今季アビスパは、『バトルオブ九州』において無敗を続けており、長崎戦も下馬評では、アビスパ優勢が圧倒していた。前節の京都戦では、リードされてからの逆転勝ち(2-1)と攻撃面のコンディションが上がってきたことで、この長崎戦もゴールラッシュが期待されていた。だが結果として、J2で2番目に失点が低い長崎の堅守(25節まで20失点、アビスパは31)が光った試合となってしまった。
 アビスパもMFの城後寿選手、亀川諒史選手を起点に、FW金森健志選手をはじめ果敢にゴールを狙った。後半に、FWウェリントン選手、坂田大輔選手を投じたものの、長崎の堅守を揺さぶり崩すまでには至らなかった。
 今回の試合でのアビスパのシュート数が5本で、今季アビスパの1試合平均の9本にも届かなかった。アビスパは単発、単調な攻撃だった感が強く、対する長崎のような巧みなパスワークによる攻撃で守備への揺さぶりをかけていたシーンとは、対照的なゲームマネジメントであった。長崎は、アビスパの2倍の10本のシュートを放った。ただ裏を返せば、アビスパの守備面での成長、改善が表れたとも言える。井原正巳監督も試合後のコメントで、「守備では久しぶりに失点なしという0の試合をできたというのも、チームにとっては大きいと思っています」と述べている。

 第26節の長崎戦は、ある意味“負けなかったこと”が成果であった。だが、守備面での健闘があった一方で、好調さをキープしていた攻撃面ではやや消化不良の結果となってしまった。一部の専門家やサポーターからは「アビスパのスターティングメンバーは、ベストではなかった」という旨の評やコメントが聞かれるが、それは試合結果の理由にならない。
 J2では年間で42という試合数があり、多くて中7日、少なければ中3日というスケジュールで試合に挑む。それは過酷である。当然ながらケガ人は出るだろうし、ケガによっては長期離脱もある。また、身体のどこかに不安要素を抱える選手がほとんどだ。「どこも痛くありません。万全です」というのは表向きで、毎試合、身体を削りながら戦い、コンディションの不安要素と向き合っているのが事実。それらを克服して涼しい顔をしてプレイするのが、プロである。そのため、今出場している選手が“ベストメンバー”である。

 これから8、9月とさらに厳しい気候での戦いとなり、過酷さが増してくる。それでも、アビスパを支え応援する皆さんの喜ぶ顔のために、1試合1試合全力で挑んでいただきたい!

【河原 清明】

 

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