2024年04月18日( 木 )

韓国経済の五つの懸念材料(後)

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韓国では会社を辞めると、再就職の機会があまりないため、自営業に従事するケースが多いが、景気が低迷する中で、自営業の負債も560兆ウォンに達している。自営業の負債は家計負債には含まれていないし、自営業者の場合、ノンバンクからの借り入れが多いので、もともと金利が高い。今現在でも借入金利は高いのに、追加の金利の引き上げが実施されると、自営業者は壊滅的な打撃を受ける可能性は十分ある。なお最近になって家計負債が急激に増加しているが、それにはわけがある。韓国では住宅制度の変換期を迎えていて、まとまったお金を入居する時に預けて、家を明け渡す際に、全額を返してもらう全貰(ジョンセ)という制度が崩壊しつつあり、住宅の借り手は住宅選択の方法が一つなくなり、全貰を諦めてローンを組んで住宅を購入する人が多くなっている。しかし、余裕があって住宅を購入したというより、このような状況の中で今では毎月の家賃を払うよりは住宅を購入した方が割安になるため、少し無理をして住宅を購入した家計が多い。そのような家計は利上げで金利が上がると、家賃よりも利子の負担が増え、アメリカのサブプライムのようなことが韓国で起こりかねない。

 韓国経済の懸念材料の四つ目は、国内企業の業績悪化である。低油価で韓国の造船業界、鉄鋼業界、建設業界の損失は膨らんでいる。中国の鉄鋼過剰は韓国企業への収益を圧迫し、ポスコなどの鉄鋼業界は不況に喘いでいる。造船業界と建設業界も受注のキャンセル、工事の損失発生などで今後赤字がどれほど拡大するかわからない状況である。現在は、今までの果実で何とか凌いできたが、金利上昇があれば、資金調達が難しくなり、破綻する企業が出て、それが韓国経済全般のしわ寄せになることが懸念されている。倒産する企業が続出すると、所得の減少、雇用の減少、消費の抑制につながり、生き残った企業にとってもかなり厳しい環境におかれることになるのは間違いない。

 韓国経済の懸念材料の五つ目は、テロなどの発生による不安心理の蔓延である。テロというのはいつ、どこで発生するかわからないので、人々に恐怖を抱かせるようになる。人間は恐怖心を持つようになると、すべてにおいて消極的になるし、投資と支出を抑えることになる。このような状況になれば、自国の利益を最優先することになり、貿易などにも悪影響が出てくる。韓国のような輸出依存度の高い国には大打撃になる。以上のような波が韓国経済に襲ってくる可能性が高いと専門家は警告している。韓国輸出の牽引役であった石油化学産業なども低油価の影響で利益の減少と売上の減少を経験しているし、半導体もサムスンとSKハイニックスは莫大な投資を計画しているが、すでに過剰投資を経験している日本では、供給過剰の懸念を予見する人もいる。日本はすでに失われた20年を経験して、今は暗いトンネルから抜け出そうとしている今、韓国に日本のような長期低迷の兆しがあることを警告する人も多い。韓国政府では日本のような急激なバブルの崩壊がないように、不動産政策にも細心の注意を払っているが、この政策がいつまで効いていくかは誰もわからない。また、企業の構造調整を早目に実施して、企業連鎖倒産などによる経済破綻を避けるため、政府も構造調整を急いでいる。特にサムスングループは化学事業などをロッテグループに売却し、これから成長が見込まれるバイオ医薬品などにグループの力を結集させようとしている。
(了)

 

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