2024年03月29日( 金 )

ヒューマンスキルを活用し激変時代の雇用創造に突き進む

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(株)アルテクス 代表取締役 竹内 巧

リーマン禍を回避させた介護や人材教育へ参入

 企業経営における多角化、事業拡大のメリットは、時代や顧客の変化で生じる収益の変動を低く抑えられる点だ。
 産業機械の設計からスタートした(株)アルテクスは、大手メーカー発注の大型案件による黒字倒産を回避するために、取引先の助言で入金サイトの短い技術者派遣に参入。多角化、拡大へシフトして経営基盤を安定させている。

 「設立5年目にリーマン・ショックに襲われ、受託も技術者派遣も仕事が来なくなりました。ですが、3年目に介護、さらにリサイクルの事業を始め、自前で人材の教育も行ってきました。そのため、リーマン・ショックでも難局を乗り切ることができました」と、竹内巧社長は振り返る。

 後輩が山口県で介護事業を行っていた縁で、ホームヘルパーやケアマネージャーなどの養成を開始。派遣契約が終了した技術者を研修して、緊急避難的に施設に派遣した。
 事業開始2年目には、ハローワークから山口県下での訓練事業者の認定を受け、資格試験や介護サービスの講習を事業化。現在は宇部市で介護施設「喜笑苑」「ほほ笑み」で認知症患者を対象とする施設を運営し、軌道に乗せている。
 リサイクルはフォークリフト用の鉛バッテリーの再生だ。同社が持つ機械から電気、化学までのノウハウを生かせる事業で、電池をリサイクルすることにより、重金属の鉛がおよぼす環境負荷の低減にも貢献する。

人にしかできない仕事は最後まで残る

ar 多角化には、デメリットもある。資本や労働力を1つに集中できないため、効率経営にならないことだ。そこで、アルテクスは時代や景気の波を受けても、必要とされる事業に特化する。それは『ヒューマンスキル』が重視されるもので、教育への投資も惜しまない。
 「当社は製造業では設計という上流の仕事をさせていただいています。発注元がどう変わるかで微妙に影響を受けますが、ロボットにはできない泥臭い仕事は絶対に残ると思います」。
 人にしかできない設計や開発、人による懇切丁寧な指導教育、人が見守り心を通わせる介護、人と切り離せない環境対応である。

 竹内社長は、かつて実業団のバスケット選手だったため、児童向けのフットサルやサッカー、剣道、バスケットボールなどのスポーツ教室も運営する。ここでも高い技能と熱いハートを持つ人材の活用に前向きで、プロ選手のセカンドキャリアや学生スポーツ経験者の受け入れにも関心を示す。

 同社のモットーは、優秀な技術者集団としてさまざまな事業を展開し、雇用創造につなげること。それは企業に耐性をつけてくれる。変化の激しい時代、産業構造のもとでは、最大限のメリットになり得るのだ。
 将来的には事業を精査しながら、グループ企業を10社までに絞り込むという。同社は1つひとつの事業を雇用機会の創出として有機的に結びつけ、今まさに福岡における雇用の社会的課題の解決に向け、邁進している。

<COMPANY INFORMATION>
(株)アルテクス
代 表:竹内 巧
所在地:福岡市早良区百道浜2-1-22
    福岡SPRセンタービル7F
設 立:2003年9月
資本金:3,000万円
TEL:092-832-6522
URL:http://www.altecs.com/

<プロフィール>
takeuti竹内 巧(たけうち たくみ)
1960年、山口県生まれ。山口県立宇部工業高等学校卒業後、山口松下電器(現・パナソニックエレクトロニックデバイス山口)に勤務。2003年9月、産業機械の設計を行う(株)アルテクスを設立。「困難よ、我に来たれ!私を強くするから。」をモットーに、事業に全力投球。

 

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